猛撃のディープレッド(13)WIP4
なにか。
とても重要ななにかが一瞬脳裏を過ぎり、すぐに焼失する。
その灰を、どうにか復元できないか。
「良いわ」
そうこうする内に、スティアが答えていた。
「え」
「協力するって事よ。リヴァルと同じく、アナタ達にね」
今し方、交えた太刀筋。信じられないくらいに技量が上がっているが、根底を支える動きのクセは同じだった。
即ち、スティア・イルクスが探す男。マット・ブラックと。
彼女は、納得を得たのだ。
無論違う可能性はある。だがギューオと協力し続ける限り、可能性の検討すらできないまま輪海国エルガディアは滅んでしまうだろう。
「結局は私達『乗合馬車』よりも、アナタ達エルガディア防衛隊の方が、筋が通っているもの。それに」
「それに?」
首をかしげるフレイムフェイス。その仕草に、ふとスティアは思い出してしまう。
『今回はまた酷いわねマット。よっぽど運が悪いのかしら』
遠い、昔の記憶を。
「……なんでもない。それより今はもっと重要な事があったでしょ」
「ああ、そうですね。遅くなりましたがリヴァル・モスターさん……モスターさん?」
辺りを見回して、そこでフレイムフェイスは見た。一拍遅れて、スティアも気付いた。
割と長めの時間の正座を強要され、しかし姿勢を崩せず声も発せぬまま静かに悶絶しているリヴァルの姿を。
「うわーっホントに忘れてた! ごめんなさい!」