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猛撃のディープレッド(14)2300字くらい
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猛撃のディープレッド(13)WIP3
「しッ」
鋭い呼気と共に跳ね上げられる日本刀。勢いを減じていた細剣は弾かれ、のみならずスティアもたたらを踏む。しまった、と思った時には既に遅い。顔面を狙うフレイムフェイスの左拳が――ぴたりと、スティアの眼前で静止した。
「この辺で良いかな、と僕は思うのですが。いかがでしょうか」
「確かにね。けど、仮にこの一撃が入っていたとしても、まだ致命傷じゃあない」
「それもそうですねえ。ですが、そこからの流れがどうなっていたのか。アナタほどの技量があるなら、容易に想像がつくのでは?」
「……」
スティアは返せない。その通りだからだ。打撃が入り、ノックバックした所へ斬撃。そんな所だろう。あるいはもっと途方もない技巧でも見せられたか。
どうあれ、スティアは細剣を収める。変身を解き、戦闘態から元の姿へと戻る。
「……そうね。それは、その通り」
息をつく。風が吹き、ざあ、と木々が揺れる。
それきり、静寂。
「……それで、ですが」
やがて、フレイムフェイスが沈黙を破った。
「何?」
「どうでしたか?」
「何が?」
「いや、いやいや。そもそも僕がアナタの眼鏡にかなうかどうかを確かめるのが目的だったじゃあないですか」
「……。あぁー!」
「もしかして、本気で忘れてました?」
「まぁ、その。ちょっと。ちびっとね?」
誤魔化し笑いをするスティア。
この時。フレイムフェイスは、初めてスティアの笑顔を見た。
「――」
『今回は■た酷いわね■ット。■っぽど運が■い■■しら』