読者の皆さま、こんにちは。
作者の やまのてりうむ です。
2025年9月30日、最終話「星影の石碑、永劫への調べ」の公開をもちまして、『ディンギル創世記~暁のメソポタミア~』は、全54話の物語の幕を閉じました。
2025年6月2日の連載開始から約四ヶ月。ジド・クルガルという一人の少年の長く険しい旅路に、最後までお付き合いいただき、そして、たくさんの温かい応援を送ってくださり、本当にありがとうございました。
作者として、今、胸に去来するのは、ただ感謝の念ばかりです。
大河ユーフラテスのほとりで暮らす、どこにでもいる平凡な農夫の少年だったジド。彼が仲間を守りたいという一心で神殿の門を叩き、天才カイ・キアグとの出会いに己の無力さを噛み締め、そして聡明な巫女アーマ・エレシュという魂の伴侶を得て、星々の導きから全く新しい武術「ディンギル体術」を創造していく――【第1部:黎明編】で描いたのは、英雄の「原点」の物語でした。
そして、【第2部:激動編】では、父となった英雄たちに更なる過酷な運命が襲いかかりました。マシュクルの力の源泉「黒き鉄」の猛威、ザンガ、アッダール、バルといったかけがえのない柱の喪失。絶望の淵で、若き獅子たちが仲間との絆を力に変え、ウルクの未来を賭けて戦う、まさに激動の物語でした。
続く【第3部:継承編】では、北方の民タシュガル族との出会いを経て、シュメール全土を巻き込む最終決戦へと突入しました。ジドとカイ、二人の英雄が背中を預け合い、ラハムという巨大な闇に立ち向かう姿を、皆さまも固唾をのんで見守ってくださったことと思います。
この物語を通じて私が描きたかったのは、単なる英雄譚ではありません。
力とは何か。守るとは何か。そして、憎しみの連鎖の果てに、人は何を見出すのか。
ジドたちが流した血と涙、その魂の輝きが、少しでも皆さまの心に届いたのなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。
さて。
ジドの物語は、ウルクに平和が戻り、彼がその半生を粘土板に刻み込むところで、一度、終わりを告げました。
……しかし。
皆さまは、最終話の最後に置かれた、あの不可解なエピローグに、何を思われたでしょうか。
――その全ての答えが、ここにあります。
古代メソポタミアとは似ても似つかぬ、現代日本の寂れた埠頭。
「神原 閃」と名乗る少年が放つ、あの忌まわしくも圧倒的な「青白い閃光」。
――実は、皆さまがこれまで見届けてくださった『ディンギル創世記』は、これから始まる、数千年にわたる壮大な物語の、ほんの序章に過ぎなかったのです。
ジド・クルガルが粘土板に遺した魂の記録。
その炎は、決して消えてはいなかった。
密かに、しかし確実に受け継がれ、数千年の時を超え、現代日本へとたどり着いていたとしたら――?
お待たせいたしました。
数千年の時を超え、ジドの魂を受け継ぐ物語。
その本編となる新た物語を、開幕させていただきます。
その名は――
『零極滅消サーガ ~古代の電流術を受け継いだ高校生は、歴史の裏で世界を守る~』
表向きは国内屈指のエリート進学校【私立星光学園】。しかしその裏の顔は、古代より伝わる「零極滅消術」の適性者を集め、国家の安寧を脅かす特殊災害に秘密裏に対応するための、政府直属の非公然組織。
主人公・神原 閃は、その学園に所属する高校生。
仲間が傷つけられた時、彼の内に眠る力は「青白い閃光」となって暴走し、敵を塵一つ残さず消滅させてしまう。
自らの力の危険性と制御の難しさに苦悩する彼に、指揮官・東雲 朔は氷のように冷徹な言葉を投げかけます。
「制御できない戦力は、兵器ではなく、ただの災害でしかない」
古代の英雄ジドが「守るための力」として創造したディンギル体術。
数千年の時を経て、それは「零極滅消術」として体系化され、現代の若者たちに受け継がれました。
しかし、彼らが生きる世界は、古代メソポタミアよりも遥かに複雑で、巨大な陰謀が渦巻いています。
日本の裏社会を牛耳る巨大シンジケート。
世界の秩序を覆さんとする思想組織。
そして、海の向こうから日本の超常技術を狙う、中国の秘密機関。
閃と、その仲間であるエリート術者・葛城圭吾、医療の道を志す水瀬詩織、ムードメーカーの橘陽菜、後方支援を担う相葉樹。
彼ら「星光学園の若者たち」は、この巨大な闇にどう立ち向かうのか。
『ディンギル創世記』で描かれた全ての謎――「青白い閃光」の正体、今は亡き軍師バル・スムンが遺した「マシュクルの背後にある影」、そしてラハムの最期の言葉――その伏線が、数千年の時を超えて、現代で一つに繋がります。
ジドが星空に託した願いは、現代の少年少女に何をもたらすのか。
これは、古代から現代へと受け継がれる「力」と「魂」を巡る、壮大な年代記です。
改めまして、『ディンギル創世記~暁のメソポタミア~』を最後まで応援してくださり、本当にありがとうございました。
皆さまからいただいた一つ一つの応援やご感想が、この長い物語を完結させるための、何よりの力となりました。
もしよろしければ、物語全体のレビューやご感想、そして作者やまのてりうむ(@yamanoteriumu)のフォローなどいただけますと、今後の創作活動における大きな励みとなります。
皆さまの足跡が、この物語が生きた証です。
そして、新たに始まるサーガの開幕を、どうか楽しみにお待ちください。
ジドたちの魂を受け継ぐ、現代の若者たちの戦いを、再び皆さまと共に見届けることができたなら、これ以上の幸せはありません。