いつも拙作「重力1/100」お楽しみいただきありがとうございます。
本日投稿分の「バタフライエフェクト 下」の作中にて
「SPC(セフィラ・キャピタル)の国際金融網を通さなければ、主要通貨(ハード・カレンシー)を持たないエジプトは、国際経済から排除され、致命的な借款の罠に沈む」
と書いたものの、「知らん人も多いのかなあ」と思い捕捉させていただきます。
1. ハード・カレンシーって何ぞ?
ハード・カレンシー(Hard Currency)とは、世界中のどこでも信用され、いつでも他の通貨や金(ゴールド)と簡単に交換できる国際的な信用力の高い通貨のことです。
具体的には、米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、日本円(JPY)、イギリスポンド(GBP)などがこれに該当します。これらは発行国・地域の経済が非常に安定しており、政治的にも信頼されているため、世界貿易や海外借金の返済(決済)において「パスポート」のようにどこでも通用します。
2. 持ってる国のメリットは? 日本における「円」の強み
私たち日本人にとって、日本円は世界有数のハード・カレンシーです。
日本国内はもちろん、海外の市場でも「円」さえ持っていれば、石油などの資源や海外からの食料品、最先端の機械などをいつでも確実に購入できます。自分の国の通貨がそのまま世界中で信用されるため、国家として非常に強い基盤を持っています。
3. ハード・カレンシーがない国って大変なの?
一方で、世界には自国の通貨(ソフト・カレンシー:弱い通貨)の信用が低く、海外で全く通用しない国がたくさんあります。エジプトなどもその一つです。こうした国々が直面する現実の厳しさは、主に以下の3点に集約されます。
◆石油や食料が買えない(輸入の壁)
例えば、エジプトが海外から小麦や原油を買いたくても、売り手である外国の企業は「価値がいつ暴落するか分からないエジプト・ポンドはいらない。米ドル(ハード・カレンシー)で払ってくれ」と言います。そのため、国がどれだけ自国通貨を持っていても、外貨(ハード・カレンシー)の蓄えが枯渇すると、生活必需品すら輸入できなくなります。
◆借金の返済で首が回らなくなる(借款の罠)
発展途上国がインフラ整備などで外国からお金を借りる際、世界基準に合わせて「米ドル建て」で借入れをすることがほとんどです。稼ぎも米ドルなどのハード・カレンシーでなければ、返済のハードルが跳ね上がります。
◆国際金融資本(SPCのような存在)に首根っこを掴まれる
自国に十分なハード・カレンシーがない国は、国際的な巨大金融機関やIMF(国際通貨基金)などに頼らざるを得ません。「ドルを貸してやるかわりに、国のインフラの民営化をしろ」「うちの決済ネットワークを通せ」といった過酷な条件(借款の罠)を突きつけられても、主権を奪われる覚悟で従うしかない――という構造的な弱みが生じます。
作中でエジプトがSPCの横暴に表立って逆らえないのは、まさにこの「ハード・カレンシーの流通網を握られているからこそ、国家の経済命脈を人質に取られている」という、現代のリアルな国際経済の側面があるからこそなのです。
経済力が衰えたって言っても、世界で見たら日本は特別な国なのです。
いい国に生まれたわ!