【フライング・パンダより】
やあ、みんな。ボクはフライング・パンダ。
いつも佐奈子さんの部屋にいる、ちょっと特別で、ちょっと口の固いぬいぐるみさ。
ここまで『愛の水声 双子の姉妹』(https://kakuyomu.jp/works/16818792436098585498)を読んでくれて、ありがとう。ボクの目から見た、あの三人の、ここまでの物語を少し話そうか。
物語はね、穏やかな水面から始まったンダ。
大江翔太くんと、彼の妻である大江日奈子さん。二人は仲睦まじい夫婦に見えたよ。
でも、ボクにはわかったンダ。その水面の下には、どこか満たされない波があったって。
翔太くんは優しすぎるあまり、日奈子さんの前で自分の全部を出せないでいた。日奈子さんもまた、翔太くんを気遣って、自分の本当の気持ちを抑え込んでいたンダ。
そんなある日、佐奈子さんがやってきた。日奈子さんの双子の妹、山崎佐奈子さんさ。
彼女はね、天の上からふわふわと、「ぬるいだけの優しい時間なんて毒だ」って、両腕にキラキラ光る小石をたくさん抱えながら、舞い降りてきたンダ。真っ黒な翼をめいっぱい広げて。
ボクは最初、ちょっと驚いたよ。
佐奈子さんは、翔太くんに『おまじないのキス』をしたり、『お酒の事故』って言って、彼の隠れた熱を解放させたりしたンダ。翔太くんは戸惑ってたけど、ボクにはわかったよ。彼の奥底で、何かが目覚め始めたンダって。
それからね、佐奈子さんは日奈子さんにも『大人の階段』の登り方を教えてたよ。最初は恥ずかしそうだった日奈子さんも、翔太くんの新しい一面を知って、少しずつ、自分の隠された気持ちに素直になっていったンダ。カラオケで、佐奈子さんと翔太くんが歌った『勿忘』を聴いて、日奈子さんは涙を流してたよね。あれはきっと、喜びと、そしてこれから始まる変化への予感の涙だったンダろうね。
ここまでの物語は、まだ序章にすぎないって、佐奈子さんは言ってたよ。ボクもそう思う。あの三人の『愛の水声』は、これから聴いたこともない音色を奏でていくンダろうな。
さあ、君もボクと一緒に、彼らの物語の続きを見守ってくれるかな?