こんにちは、ちわちわ、うつみです。
さっそく今回の作品完結ノートと参りましょう。
◯製作期間
前回の作品完結ノートが上がったのは四月二日。そして今日は八月二日、と。四か月ですね。三か月目途ではあったのですが、最後の一か月はゆっくり書きました。
これはMFの公募に出すつもりの作品なのですが、元は六月末の一期に間に合わせるつもりでした。でも書き上がるのが締め切りの三日前とかギリギリになりそうで。とはいえ、できたてのもんでもいいから突っ込んだろ~、と思っていました。ところが友人に「これ面白いからちゃんと書いた方がいいよ」という助言を受けまして……素直に聞き入れました。そんな経緯があります。となるとまあ、次は九月末になる訳ですから、ゆっくり書けばいいか、という余裕があったわけですね。余裕があるっていいことです。ただ、時間をかけて書けるということは、字数も増えちゃうということで……。
◯文字数
14万字もあって草。なにごとやねん。Word換算166ページあります(MFに限らず公募の規定は150ページ以下のことが多いです)。終わりだ。16ページ減らすのはかなり大変な作業になるでしょう(控えめな表現)。紙面を上手く使うよう細かいところを修正していったしても、減らせて3ページくらいなものですかね。となるとこれは割とでかめの改修が必要そうです。一話丸々消すくらいの規模感の改修が。幸いにも二か月あるのでどうにかはなるとは思います。
章ごと字数を数えてみると、
「一章50600、二章35000、三章45400、終章12000」
となるようです。事前の構想だと、
「一章50000、二章30000、三章30000、あとは極力コンパクトに~」
みたいなイメージでした。見通しが甘かったのは三章ということになりますね。削るならここからなのかなって気はしてます。
◯何のフォロワー?
自認としては、この小説は「死亡遊戯フォロワー」です。そちらの売れっ子小説のフォロワーとしてやってきました、みたいな顔で臨もうという魂胆でした。
登場人物は女の子だけで、デスゲームで、血が出ないギミックがあって……ほら、「死亡遊戯」ですよね。
……ちょっと「死亡遊戯で飯を食う。」の話をするんですが、この作品はデスゲームの雰囲気を利用しつつも、血が出ない、グロくなりすぎないという強みがあります。作中の参加者たちは「死にさえしなければどんな傷でも治療可能な、血が出ない身体」になる改造を受けているんですね。ここがおそらく評価点の一つ。けれど自分が付け入る隙に感じたのもこの設定でした。なんというか、それだけ、なんですよね。「そういう身体になってます」というだけ。掘り下げる必要が無いので掘り下げていないだけではあるんですが、ここの設定自体は色付け次第でもっと遊べるな、というのが自分が抱いた感想でした。
ゆえに生まれた設定が、今回の「メルヘンアイドル」です。
え? いや流石に無理あるだろ、って? どこからどう見てもまどマギ、まほいくの系譜だろ、って?
いやいや、死亡遊戯です。死亡遊戯フォロワーなんですってば! 自認は!
◯ストーリーと構想
メルヘンアイドル通称メルドルの設定が一番最初に存在して、この設定で出来そうなことを書き出して、それをパズルしただけです。いつものやつです。大きな仕掛けとして「常時フレアクトしていて素顔を隠しているキャラ」が面白そうだなと思い、なぜ素顔を隠しているのかと考えると、事情のある活動家なのかな、じゃあ世界情勢はこんな感じで、主人公もそれに対するスタンスを示して、そのためにはこういうイベントが必要で……みたいな感じで考えていきました。
◯テーマ(メッセージ)
「エンタメ作品なんでそんな堅苦しいの無いっすw」という言い訳をしちゃいます。
強いて言うならシラベの考え方にそれらしいものは見ることができますが……まあ、大したものではありませんでしたね。
◯キャラクター
評価シートが返ってくるたびにキャラクターが課題、キャラクターが課題って言われてきたので、しゃーなし今回は事前にキャラクターの設定をある程度固めてきました。それでもキャラぶれは結構発生していたので、自分が如何にストーリー優先、キャラ軽視に偏っているのか、ということを思い知らされました。
ちょっと語るんですけど、自分TRPGのシナリオを書いていたところから出てきてまして、ゆえにキャラクターを作るのが苦手だったんだと思います。TRPGのシナリオにキャラクターっていませんからね。でも思い返してみると、自分はGM、KPが好きだったとはいえPLもやってはいて、そのときにはキャラシを作って持ち込んでたんですから、キャラクターを作ろうと思えば作れるし、凝ろうと思えば凝ることができるはずなんです。今作を作るにあたってやっとその事実に気付けて、キャラクターを作ることへの苦手意識、億劫さみたいなものが大分軽減されたと思います。
・シラベ
読者がめっちゃ共感できる主人公にしようと思って書いたのに、読んでくれた友人からは「共感できないサイコパス感がいいね」とか言われました。そんなあ。
共感ポイントは「自分が目にしたものしか認識しない」ところです。シラベは百聞はガン無視して一見しか信じません。これ共感できますよね? 人間って歴史や警告よりも経験を重要視してしまう生き物ですもんね? ですよね? つまりシラベは共感できる主人公なんですよ。そういうことです。
人殺しを仲間に加えることになりそうだったので、強制的に禊を終わらせる設定にしようと思って、死神モチーフのフレアクトになりました。主人公に着せるにはちょっと意外な衣装だった気がします。結果、他のキャラのフレアクトはどんなんだろう、と読者に興味を持たせる効果も生まれたんじゃないかな、と思っています。
実はこのキャラを書くの途中で一回飽きちゃったんですけど(ユワに熱が入ってた時期です)、あんまりよくない傾向だなあと思って、改めて真剣に向き合い、好きになる努力をしました。おかげさまでさらさら書けるようになりましたね、書こうと思えばいくらでも書けるかも。作者が主人公のこと好きになるのって大事だなと思います。
そういえば今作は「宝石の国」も意識していて、フォスのようにパートナーをとっかえひっかえしていく主人公にしたいな、とぼんやり思っていました。そのおかげで、最終的に誰が勝ち残るか分からない感じは演出できたんじゃないかな、と勝手に思ってはいます。
・ミチル
メインヒロイン兼ラスボスです。自分毎回メインヒロインをラスボスにしちゃうし、章終わりのバトルは仕込んだ伏線一つを回収するだけで一瞬で終わらせちゃうんですけど、これって誰かに似てませんか。そう、西尾維新です。うつみ=西尾維新仮説。あ、そういえば今作は学園サバイバルものということで「暗号学園のいろは」の影響も色濃く受けております。西尾維新だったのか、うつみ。次はメフィスト賞目指しましょうかね。
とはいえ今回のラストバトルに関しては、尺を割と長めに取りました。いつもは合計二ターンくらいで終わるんですけど、今回は四ターンくらいあった印象です。回収したい伏線がいくつかあったのもそうですが、意図して長めにもしました。その方が満足感があるのかなーと思って。
このお嬢様口調キャラはいつも使い回してる奴なんですけど、素が別の人格ということで、いつもと全然違う味わいになりました。エピローグいいね。
フレアクト脱いだ時の口調がふわっとしてるので改善の余地あり。
・ユワ
いつも一人はいる、入れ込みすぎたことを反省する枠です。
ミチルとの最終戦につなげるにはユワの視点で描くターンが必要ではあったのですが、いかんせん主人公感が出すぎている。書きすぎ。字数削るならコイツの視点からでしょう。でも結構面白いキャラだったんすよ……実際のところ……。
クルミとかいうキャラがいたのはコイツを新人戦に出場させるためでした。そう考えると設定の時点で既に優遇されてる感じがします。とはいえこれは別にユワのことが好きだから勝ち上がらせた、とかではなくて、ある程度の尺をかけてユワを描くことになるのは事前に分かっていましたから、描写量が嵩んだならば相応の待遇を設けるべきだろう、と思ったからです。あんなに時間を使ったのに、出番がここまでとかマジ? ってなるのを回避したかったわけですね。
コイツの一人称が「ユワ」なんですけど、自分の過去作にも自分の名前が一人称のキャラが居て、書いてて凄く引っ張られました。やっちっち~。小泉八千恵ってやつです。あっちもこっちもツッコミ役ですしね。抵抗するにはしたんですけど結局引っ張られたので、口調に小泉の影を見ることができます。
レンリと組ませて真価を発揮するキャラで、逆にレンリがいないとあまり奮わないです。シラベと組ませているときでも、もうちょっと面白くしてあげたいな、という気持ちでいます。
・スガリ
最初に死ぬ枠です(まあネームドで死んだのコイツだけなんですけど)。それ以上でも以下でもない。
あんま思い入れないっすね……。キャラデザ独特だね。小っちゃくて可愛いね。死に様がかっこいいね。
デスゲームへの適正はあったようなので、ふれどーるガチャがハズレてなければ最後まで生き残ってた世界線もあったと思います。マリアとかコメットとかのtier1ふれどーるを手に入れてたらボス格すら担えたかもしれません。
・カズラ
かなりの強度の理性を持っているにも関わらず、あくまで動機は共感性と復讐……こう書くと女性脳っぽいですね。シラベがそこのところドライであることを描きたくて、こういう対照的なキャラクターになった、みたいなところがあります。じゃあシラベは男性脳だったのかというと……そういうところはあるかもしれませんけど。なんというか、強いて言うなら……少年脳?
物語で最終的に勝者サイドに立っていたのはユワだったのですが、カズラも別に頭脳戦レベルで負けてるってことはないと思います。作者的には同格くらいの認識。それこそ想定外の事態への対処スピードとかならカズラの方が圧倒的に早そう。
シラベに色々説明してくれるし、必要に応じて盤面も動かしてくれるし、とっても便利なキャラでした。
・フブ
一般人枠かと思いきや異常者枠かと思いきや一般人枠でした。凝ってますね。
コイツをいじめるのがもうあんまりにも楽しくって、楽しいあまり、あの辺りの展開が雑になってしまったというところがあると思います。あの辺、改善の余地あり。あるいはこれくらいの雑さでもいいのか。
・ナギ
まあ、そのまま。特に語るところなし。
ふれどーるの名前がナイチンゲールなのにフレアクトは人魚姫モチーフなのがちょっとチグハグかも。
・レンリ
当初はユワとレンリみたいな、重感情コンビをたくさん書くことになるのかなーと思っていたのですが、そういうのはユワとレンリだけでしたね。みんな割とそれぞれのふれどーるを拠り所にしていて、人間を頼りにする必要がなさそうでした。
割と新しいキャラの引き出しな感じします。何だコイツ、僕のどこにいたんだ。
このキャラに関しては——何を考えているのかなんとなく想像できるものの、明確には描かれない——くらいの塩梅が魅力的に見えるのかな、と思ってそうしています。どうですかね。
・クルミ
昔書いた「この虹色の世界から~」という小説から流用してきたキャラクターです。そっちの名前はクルミ・リンドート。そのままですね。過去作を振り返って目立ってたキャラを引っ張ってきただけあり、出番は少ないながらもキャラが立っていた感じがします。先の展開のボスが早めに顔出ししてる感じですので、コイツのバトルシーンが読みたい、と思わせる力もあるのかもしれません。
そういえば三章以降の出番が無いな……。まあいっか、ミチルの掘り下げと同時にコイツの背景もふんわり説明されてる感じですもんね。
字数を減らす関係で誰かキャラクターを抹消するならコイツなのですが、それには少々本筋に関わりすぎていて、修正が大変になりそうではあります。
・ヒルギ
「アリス・イン・マーダーランド」が原題と完全に韻を踏んでいて、どこかで使いたかったので、無理やり話タイトルにしてます。本当は本文中の「殺しの国のアリス」に「アリス・イン・マーダーランド」ってルビを振りたかったくらいなんですけど、流石に気取りすぎてるかなと思って止めました。
これも割と新しいキャラクターの引き出しって感じです。こういう、「えへへ」って笑う感じの地味かわ女の子? みたいなの。
まあ、存在しているだけで役割を果たすみたいなキャラなので、特に語るところも無いです。
・セイラ
フレアクトの描写はあったんですけど、素の見た目の描写が無いですね。要ります?
口調がスガリと被りすぎ。
続編があるなら重要な役回りになりそうなキャラです。
・一年五組の残存メンバー
名前だけ存在している方々です。トドロとヒエンだけちょっとセリフがあります。
トドロの目立ち方には諸説あって、もっと前に出すかもっと地味にするか、どちらかした方がいいのかもしれません。現状はメインでもモブでもない微妙なところで、なんだか中途半端かも。かもかも。
トドロとヒエンが同部屋、カジカとメイジが同部屋、ホタルのルームメイトはナギという設定があるにはあります。ユワとレンリにルームメイトを殺されている人間はこの五人にはいないわけですね。
ちなみにミチルのルームメイトはミチルの薦めで初日に退学してます。エロくなかったんでしょう。
・ふれどーるの方々
契約者から暴力を受けてて可哀想だね。なのに健気で可愛いね。
マリアとナイチンゲールのように、キャラクター性から性能が決まったふれどーるもいれば、
ミュゼとコメットのように、ストーリーの都合から性能が決まったふれどーるもいます。
◯そのほかの反省点
文字数が第一にあります。いやあ、字数減らすの大変そう。
でも他にはあまり無いですね、今のところは。大体想定通りにやりたいことやれたし、物語としてのおさまりもそんなに悪くない気がするし。
読者の予想は上手く裏切れててたんじゃないかと、作者的には思うんですけど……どうなんでしょうね。期待通りになっているのかは、分からない……。
◯総括
学びがある執筆になりました! この作品のおかげで「目が開かれた」とすら言えるかもしれません。
読者の興味を引っ張るのはキャラクターへの期待であるという当然のことを、実感を伴って理解できた気がします。シラベが発起するまでに五万字かけたって別に構わないわけです、その展開への期待を維持させることができるなら。進展が遅くたっていいわけです、見たいものまで着実に進んでさえいるならば。
その点でシラベにはやはり魅力があったんですよね。このキャラは何かしてくれそうだな、と思わせる力があった、と。
ただ、あくまでこれってまだ入門で、次は僕がそれに応えられるかどうかっていう問題がある訳ですよね。そこが不一致なら、読んではくれたけど微妙な感想になる、と。
期待させるキャラクター、期待に応える展開、これをセットで描いて初めて小説になって、そこからやっとクオリティがどうこうといった話が始まる。だとしたらそれをやっと理解したばかりの自分って全然小説を書けてないし、初歩の初歩のところにいるんだと思います。
今までよりちょっとキャラクターについてリソースを多く裂いただけで、こんなに「面白い」の解像度が上がって、改善の方向性とか、問題や課題とか、そういったものまで見えるようになるだなんて……なんだか随分と遠回りしたなって感じです……。ぐすんぐすん。でもしょうがないよね。今から頑張ればいいんだよね。うぇいうぇい。
という感じで、今作と直接は関係ないことしか書いてないんですが、これにて今回のノートは終わりとさせていただこうと思います。
次は何書くんでしょうね。例によって未定です。流石にそろそろミステリを書きたくなってきたので今度こそミステリいきます。うおお! ミステリ、キメたるぜ!
では改めて、『メルヘンガールズ・マーダーステージ』を読んでいただいて、ありがとうございました。もし気が向かれましたら過去作の『こんなに月が綺麗なのに~』とか『若返りの賢者~』とかを読んでいただいたり、次回作を御贔屓いただけたら嬉しいです。失礼します。