https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/822139842279976197 科学の向上により人類の進歩は目まぐるしく、昨今では貧富の差こそあれ世界に住む多くの人間が”人間としての”生活を享受できるようになっております。二世紀前までは植民地だった国の者や、流刑地で生まれ育った者でさえ当たり前に、ありとあらゆる場所に出没し、「自分には権利がある」といった様子で闊歩している。これは大抵許容できるものではございません。元来、その土地の所有権はその土地を収める人間のものであり、そこに住まう者、訪れる者は所有者の許諾が必要不可欠です。そうであるにも拘わらず、近代以降は “人権意識“や”自由と平等”という絵空事が市民階級に浸透してしまっている。だれもが「自分は正当な手続きを踏んでここにいる」と鼠のような口でありもしない権利を主張するのです。この忌々しき事態を鑑みると、我々上級貴族は人類を先導し、新たな時代を作り上げなければならない使命があると、私は思うのです。