• 現代ドラマ
  • 恋愛

入苑10

https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/822139841327695948

世界を救う。人類を救う。生きている者達を殺させるわけにはいかない。そういう大義名分が霞むような人間の罪過を目の当たりにしているのだ。あまつさえ俺はそんな人間の手を借りている。俺自身がこの惨状を招いた諸悪の根源に与しているような気がして、如何なる意志も黒く染め上げられてしまったようだった。極まったのは街の奥でのでき事である。日の当たらない、入り組んだ場所に多くの青年が犇めき合い、無造作に揺れていた。何をしているのか覗いていると、汚染された泥の中で、集団が一人の少年を汚していたのだった。俺はあまりの光景に我が目と現実を疑った。どうしてそうなっているのか想像しようにも、頭が理解を拒むのだ。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する