蛇の目傘

　高校から東京に出て来る学生が暮らす寮がある。男女別棟だが、食堂などは共有だ。 　高校一年生のリュータはこの春に入寮し、ひょんなことから同い年のノバナに、書いた文芸作品の批評をし…

「俺が落としたものは——」　そう吐き捨てる。 俺の胸元で悲痛な叫びが、声にならない絶叫が、反芻する。幼子は胸元への衝撃に呆気にとられ、暗闇へと姿を消していく。年老いた者は自ら火…

　白髪の民が支配する国、サントニア。そこで育った青年レイオスは、異民族との混血であるために人々から差別を受けていた。唯一の肉親である母親が亡くなった後、青年は死に場所を求めて旅を…

今ではない時代、「天羽」と呼ばれる小さな島国があった。そこでは、神々にまつわる伝承と、「真幌月」と呼ばれる不思議な舟の存在が信じられていた。 これは、真幌月に唄と舞を捧げる「詠姫…

小清水くんと小鳥遊さんは大学の同級生。同じ学科で同じサークルだったけど、この春まで特に接触もなかったのに、小清水くんが突然、彼女に告白して…。 奥手で純情な小清水くんと小鳥遊さん…

例えばフォールンの襲撃の時、ウォーヘッドが死ななかったら？ 平穏な時を過ごしていた魔女ミュールとその父ウォーヘッド。ある日、お茶を楽しんでいた二人は天に昇る光の柱と言う現象を目…

　軍人として招集された瀬野通成（せの　みちなり）は帰還後、戦死した友人の遺品を遺族へ届けるため利用した山道で盗難に遭い、間一髪のところで少女に助けられる。その少女は、銀髪と赤い瞳…

決して知られることの無い、都内マンション突然の封鎖の真相。人々は面白おかしく様々なうわさ話を作り上げている。　 そして封鎖から三日、別のうわさ話の主役たる”彼”は今宵も仕事に励…

世界を支配した最強の龍族を滅ぼした四人の英雄。その一人であるアスト・ヴァンクリーフは、遥か遠い未来に転生した。 転生したアストは、変わらぬ実力を備えていた。しかし、その記憶には…

プロローグ的な内容の、一応短編です。 苦手な一人称視点の書き方を勉強しようとした作品なので、お見苦しい場所が多々あると思いますが宜しくお願いします。 ――僕は再び罪を犯す、大罪…

コミカルはどこに行ってしまったのか！ これは恋愛モノなのか？ ファンタジー&会話劇。 (これは間違いないハズだ！) 夏のマボロシは何を呼ぶのか。 頑張るお父さんは何をこの夏…

　20XX年某日早朝・T市。 　三人の男性が無惨な姿で病院に運び込まれる。彼らの身元を洗う内に捜査線上に浮上したのは、十七年前に同じくT市で発生した「史上最悪の少年犯罪事件」の犯…

　終末の世に秩序を打ち立てんとした伝説の総裁・錦戸しげるが『文明の非協力者』と指弾した『灰色の町』。 　そこは、終末の道理をとことんまで弁えた悪党たちと、終末に取り残されようとす…

「僕はこれが99回目の人生でね。98回目までの人生は、全部君に恋してるんだ。そして、今回もそうなったみたいだ！」 「だれかお巡りさんか医者呼んできて」 初対面がこんな感じの2人の…