遅れることはあるかもしれませんが、これも、1日一個投稿していきたいと思っています!
耳を塞いだその瞬間、世界は黙し始めた。
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プロローグ
名前を呼ばれた。
でも、それは俺の“名前”じゃなかった。
誰もそれを間違いだと言わなかった。
視線も、声も、全部こっちを向いていて、
だけど、俺という存在には一切触れようとしなかった。
──耳を捨てたその瞬間、
世界は、俺の聲を切り捨てたのだ。
あの日、教室のざわめきが一瞬で凍りついた。
それはまるで、世界中の音がいっせいに消えたかのようだった。
どうしてだ?
俺は何もしていない。
ただ最後に、彼女と口論しただけなのに。
そして──その“彼女”の姿は、二度と見つからない。