※最初は限定公開にして続きを書いたらお試しに変更するつもりが、間違って全員に公開しちゃいました!
仕方ないから今から続き書いて来ます! 推敲は後でします!
鑑定っぽいスキルに目覚めたけど、わりと要らないifストーリー
とりあえず大学生活ではなくVtuberを目指す感じの頭空っぽSS
「これから、お前らにはVtuberになってもらう」
ある晴れた昼下がり、相変わらずの学食のテラス席に皆が集まる中で俺は言った。
この場にいるのは、俺こと桐城ゴウトを含めて四人。
「ゴウトくんは、またいったい全体、何を学習しちゃったんすか?」
俺の『幼馴染』にして、うまく隠してはいるが現代に生きる忍者という普通の女、猫柳メイコ。
「さっぱり分からないが、ロクでも無い結果になる未来だけはよく見える」
俺の『親友』にして、実は異世界に召喚されて世界を救ってきた実績のある、竹鶴ユウ。
「ぶ、Vtuberなんていきなり言われても、こ、困るんですけど?」
俺の『女親友』にして、元厨二病の熊本の女、桑島タエコ。
この三人が、俺が通う平淡大学にて現在俺と親交を持っている三人である。
この三人に加えて、どこに出しても恥ずかしく無いどこにでもいるごく普通の大学生であるのが俺ということになる。
「ふむ、まずは経緯を話すべきか」
三人が戸惑うことは想定の範囲内である。
だが、俺がこんなことを言い始めたのは、別に頭がおかしくなったというわけではない。
あれは、つい先日のこと、俺が平淡大学の図書館にて暇つぶし用の本を見繕っているときのことだった。
平淡大学の図書館は、あまり人気がない。
そもそも、若者の読書離れが深刻化している昨今、人間は情報を得ようと思えばすぐにネットの海に船を出すようになっている。
さらには技術の進歩により、生成AIという名の、人工知能とはまた別の存在が生まれたことで、時には己の調べ物どころか、意思決定すら相手に委ねることもあるとかないとか。
そんなこんなで、このご時世にわざわざ図書館まで足を運び、暇つぶし用の本を見繕う大学生となるとなかなか少なくなっているのだ。
ゆえに図書館の中にいる人間はまばら。
大学の課題やレポートのために必要な資料をわざわざ探しに来た真面目な生徒や、俺みたいに暇つぶしに読書を選ぶ『ごく普通タイプ』の大学生、そして。
「ふへ、ふへへへ」
人がいないことを良いことに、図書館の隅っこに自分の城を作って何かに没頭している怪しげな女学生とか。
「やはりお絵描きにはせろりたんの雑談配信が一番ですなぁ。くふふ、今日も可愛いよせろりたん」
俺は見てはいけないものを見てしまった気分になった。
その女は、俺が近くにいることも気づかず、イヤホンをしながらスマホで何らかの配信を眺めている。
いや、眺めてはいないな。
配信を流しながら、目と手はタブレットに向いていてそのタブレットの中に絵を描いていた。
俗に言う、芸術家タイプのキャラというやつだろうか。
俺の中で警鐘が鳴った。
俺の数多ある教科書《ラノベ》での経験から、こういう芸術家タイプがどういう存在なのかは知っている。
どこにでもいるごく普通の大学生である俺とは正反対──つまり、変人だ。
教科書《ラノベ》において、こういう芸術家タイプが出てくるパターンというのは大きく三パターンほどある。
一つは、ごく普通の主人公が日常をぶち壊す『メインヒロイン枠』の変人に出会うパターン。
一つは、日常系作品が続く中でカンフル剤のように濃い『サブヒロイン』が投入されるパターン。
そして最後の一つは、
「ふひ、ふひひ。ああ、世界滅びないかなあ」
理解しがたい思考に支配されて、自分の犯す凶行を『芸術』とか呼び出す、狂ったタイプの敵キャラが登場するパターンである。
稀に味方のこともあるが、まぁ、だいたいは敵だ。
この時点で、さすがにこのつぶやきを言葉通りに拾ったわけではない。
わけではないが、少なくとも現状になかなかの不満を持っている存在であることは理解できた。
(近づかないのが吉、といったところか)
少し悩んだが、俺はそういう選択をした。
悩んだのは、大抵のどこにでもいるごく普通の高校生は、こういう芸術家タイプのキャラと出会ったら、ほぼ確定でなぜか関わりを持つのが普通だからだ。
なぜか芸術家タイプは、普通の人間である主人公に興味を持つことが多いのである。
まぁ、その興味についても、ちょっとのやりとりで『おもしろい人』と認定するタイプと、止むを得ず主人公が接しているうちに『隣にいて欲しい人』と認定するタイプもいる。
敵のパターンはまぁ、どちらかといえば前者。
でも『お前はつまらないやつだ』と蛇蝎のごとく嫌われることもあるので難しい。
話は逸れたが、この世界においてはなかなかテロリスト系の人間に遭遇することが難しい以上、この芸術家はそれ以外だと推察する。
そうなると、お判りだろうか?
残っている枠が『メインヒロイン』と『サブヒロイン』しかないのである。
俺の日常というものは俺の他には『親友』と『幼馴染』で回っている。
無理に『メインヒロイン枠』を追加するのは、推奨されない。
そして『サブヒロイン枠』は『メインヒロイン』がいなければ存在し得ない。
つまり、俺がこの芸術家女と関わると、それなりの確率でこの女が『メインヒロイン』になりかねないということだ。
それは問題だ。俺のどこにでもいるごく普通の大学生活を脅かす恐れがある。
ゆえに俺は何も見なかったことにして、この場を立ち去ろうと決めたわけだが。
そういう時に限って幻覚がポップしてくるのだ。
──────
『胡桃沢キララ』
大学:退学したい
友達:0人
SNS:友達たくさん()
才能:絵描きとしては超優秀。ただし方向性に難あり
最推し:眠眠せろり
一言:せろりたんが好きじゃ無いやつは『普通』じゃない
──────
ほう?
ここまで挑発されて、俺は逃げるわけにはいかなかった。
これは俺の『普通』に対する挑戦だ。
お前の語る『普通』がどの程度のものか、俺が確かめてやろう。
「詳しく話を聞かせてもらおうか」
「? ひょ、ひょえぇえ!?」
肩をポンと叩くと、俺に急に話しかけられた胡桃沢は、作り上げた自分の城を自分で崩壊させながら、俺に驚愕の表情を向けた。
「ど、どなたですか!?」
「どこにでもいるごく普通の大学生だ」
「それ聞いたことあるー! がっかり王子だぁああ!!」
だから、ごく普通の大学生だと言っているだろうが。誰が王子か。
これが、俺が胡桃沢キララと出会い、Vtuberという存在を知る第一歩だった。
つづく。