いつも黒い服を着て、必要以上のことを語らない青年――
それが、遠山です。
人との距離を一定以上縮めようとせず、
感情も、過去も、ほとんど表に出しません。
親しい人間であっても、
彼が何を考えているのかは、なかなかわからないでしょう。
遠山は、優しくありません。
けれど、完全なる冷酷とも言い切れない。
ただ、自分の中にあるものを
誰にも見せようとしないのです。
彼は過去に、
取り返しのつかない選択をしたことがあります。
その記憶は、いまも彼の中に沈んだまま、
言葉になることはありません。
盲目の少女・マメと出会った(再会した)とき、
遠山の中で止まっていた何かが、
わずかに、けれど確かに動き始めます。
彼は、彼女のことを守りたいのか、
それとも遠ざけたいのか、
両方なのか――
自分でも、まだわかっていません。
それは救いなのか、
それとも、さらなる破滅への入口なのか――
彼自身にも、まだ判断がつかないままです。
連載を通して、
遠山が何を背負い、何を選び、
そして何を失っていくのか。
静かに見届けていただけたらと思います。
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