お世話になっております。山龍です。
『江戸日本橋 薬種屋〈桔梗屋〉の診立て』
第七話「安息香(アンソクコウ)、亡人(ボウジン)匣(ハコ)開く」が開幕しました。
https://kakuyomu.jp/works/822139845582961509今回は、晩秋の日本橋にある蝋燭問屋で起きた、奇妙な異変から始まります。
ひと月前に主人を亡くした店。
日が暮れ、店の灯が奥へ移される頃になると、誰も触れていないはずの薬匣が開く。
そこから漂うのは、亡き主人が生前に用いていた、甘く重い安息香の香り。
そして翌朝には、匣に納められていた銭や薬包が、ひとつずつ消えています。
奉公人たちの間では、
「亡くなった旦那が、まだ薬を届けに出ている」
そんな噂まで囁かれ始めます。
亡き主人は、本当に戻ってきているのか。
匣を開くのは、死者の手なのか。
消えていく銭と薬包は、どこへ向かっているのか。
そして、匣に残る安息香の香りは、何を語っているのか。
第七話は、
蝋燭の灯。
夜ごと開く薬匣。
亡き人の残り香。
消えていく銭と薬包。
そして、死者が遺した「約束」。
これらが絡む一篇です。
第六話「牛膝、土俵に胸沈む」では、与四郎が「正しい診立てを告げること」と「その言葉を相手へ届かせること」の違いに向き合いました。
第七話では、その経験を経た与四郎と弥吉の関係にも、少しずつ変化が現れていきます。
ただし、今回も軸はあくまで「薬種屋の診立て」です。
亡者の仕業と囁かれる怪異を、与四郎と弥吉はどのように診立てるのか。
第二幕は、8月23日㈰11時に公開予定です。
また、合間の短い幕間として、
8月20日㈭18時に【木曜の薬包】を公開します。
表題は現在調整中です。
本編とは少し異なる場所から、第七話に関わる人物と、亡き主人が残したものを描く短い一篇となる予定です。
こちらも併せてお楽しみいただけましたら幸いです。
そしてもうひとつ。
現在、私が主催しております自主企画、
「名もなき人々の、物語【歴史・時代小説】」
https://kakuyomu.jp/user_events/2912051605891799853にも、多くの作品にご参加いただいております。
本日時点で、なんと79作品が集まりました。
歴史の表舞台に名を残した英雄や権力者だけではなく、
名もなき町人。
職人。
奉公人。
農民。
商人。
旅人。
そうした「歴史の中を生きた普通の人々」に光を当てた作品を集めたいと思い、始めた自主企画です。
これほど多くの作品に参加していただけるとは、主催者として大変ありがたく感じております。
ご参加くださった作者の皆さま、作品を読みに足を運んでくださっている皆さま、本当にありがとうございます。
『桔梗屋』もまた、歴史書には名を残さない人々の暮らしを描く物語です。
第七話では、亡き主人だけではなく、その人が残した言葉によって今も動いている、生きた人々の姿を描いてまいります。
第六話の土俵から、第七話の蝋燭問屋へ。
引き続き、『桔梗屋』をよろしくお願い申し上げます。
噂は騒がしい。
薬は黙って効く――