お待たせいたしました。
@kobemi様のスノードームの温室を第三話まで拝読しました。
まずは全体として、このように評価させてもらいました。
評価
引き込みの強さ:8
設定の説明に過不足がないか:7
登場人物に好感が持てるか:8
物語の展開や設定に納得感があるか:8
物語の主軸がブレていないか:9
感想
またかなりトリッキーな設定ですね。
ただ前回読ませていただいた、『いなくなったあの子』のときもそうでしたが、まずは設定を小出しにして隠しておこうとする癖があるようです。
もちろん、謎が物語を駆動させるというのは間違いありません。
しかし、そのルールを使えるのは謎が複数ある上で、主人公が謎を追っている場合に限られます。
むしろ謎が一つしかないのなら、最初にその謎を提示することで読者と語り手だけが知っている秘密にして、これからどうなるのか? という新たな謎を提示しましょう。
ミステリーが謎を追う物語であるなら、サスペンスは謎を守る作品なのです。
それでは評価理由もお伝えしたいと思います。
引き込みの強さ
「温室で密室殺人にするのはどう?」という言葉から始めるのはいいですね。
ただこれ、ミステリーというよりサスペンスの始りなんですよね。
先ほどのミステリーとサスペンスの違いの話にも繋がりますが、基本的に探偵が主役ならミステリー、犯人が主役ならサスペンスです。
稀にこの前提を逆手に取ったトリックを使うミステリーもありますが、大体の場合は語り手が複数いる群像劇です。
展開としては面白いので評価は8ですが、ミステリーとしては改善の余地ありです。
設定の説明に過不足がないか
説明自体に過不足はありません。
しかし温室の密室と密室の教室は入れ替えるなどして、説明する順番については考えた方がいいかもしれません。
でないと、物語がどこに向かっているのか分からなくて読者が困ります。
ということで、評価は7とさせていただきます。
登場人物に好感が持てるか
登場人物は理系女子と文系女子で映画の脚本を作るというのは面白い組み合わせです。
ミステリーにありがちなツッコミもキャラに上手く合っていますし、ミステリーのお約束の理由を説明できないのもキャラに愛嬌を生んでいます。
しかし教室の二人までの間では二人の個性が理系女子と文系女子に留まっていて、まだ関係性の構築の途中だと判断したため、評価は8とさせていただきます。
物語の展開や設定に納得感があるか
やはり設定や展開の納得感には安定感がありますね。
しかし先ほども話した通り、説明する順番だけがどうしても気になったので、評価は8とさせていただきます。
物語の主軸がブレていないか
自主製作映画を作るという点において、物語の主軸はブレていません。
二人の関係値の構築に重点を置いてる点も、これからの展開を予想させる上手い構成です。
しかし着地点がまだ分からないため、期待を込めて評価は9とさせていただきます。
以上でスノードームの温室の評価を終了します。
この評価がお役に立てば幸いです。
今回はまことにご参加ありがとうございました。