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母性とは シンプルなのかコンプレックスなのか

【翡翠】の第54話【アミアカルバ】で、

初めてはっきりとアミアカルバ視点の世界観の見方が描かれています。
実は女王陛下視点ではっきりと描かれているのは珍しく、
アミアは強い女性なので他人の目から見て【鋼の女王】としての彼女は随所で描かれているのですが、アミア視点はそんな書いたことがありません。

私がアミアカルバに対して心がけているのは

「清濁併せのむ女性」です。

単なる優しい母親にするのは絶対イヤだったのですが、
かといって国のことしか考えない冷徹な女王陛下にもしたくなかった。

要するに非常に自分の感情に素直な女性ですが、最後の最後では「母親」「自分」よりも「国」を優先して、女王としての使命を選ぶ人にしたかった。

アミアカルバはそうなのです。普段は母親の顔も、元来の自分の素も出しますが、最後の最後で彼女は「女王」の顔で物事を決めます。

それが亡くなった夫への誓いだったからです。
彼女は元々自分が女王陛下って感じでない人間であると自覚があるからこそ、そこをいい加減にしてしまったら、どんどん自分の求心力が落ちていくことを知っていました。

リュティスとの関係は、本来は本当に最悪の相性で、
国という使命がなかったら
アミアは「あんな根暗魔術師男この世で一番嫌い」だし、
リュティスは「あんなガサツな女の底辺ツラを見るだけで不快」で、

破滅的にこの二人は考え方があいません。

しかし、唯一【グインエル】という男を慕っていたという共通項がある。

アミアは夫として。
リュティスは兄として。

リュティスにとってアミアが「女王」の任を放棄して私情に走ること(母親の顔も含め)はグインエルへの裏切り行為とみなしていいことですから、もしアミアが少しでもそういうことをすればアミアをたちまち敵視し、自分こそが王位に相応しいと自ら王位に座り、アミアは離宮かどこかへやり、グインエルの血を引くミルグレンは王宮において、彼は彼で適当な妻を娶るでしょうが、子などが出来なかったりした場合(リュティスの場合、魔眼があるので、結婚生活も無理すると死人が出る可能性があるから、女を複数用意すれば子が出来るというものでもない。実は、リュティスの本心からすると、彼は自分自身の結婚はともかく、子が出来ることを望んでいませんでした。それは【魔眼】を両親に疎まれた記憶がやはり濃いからで、もし子供にそれが継承された場合、同じ思いを子供にさせることも、自分自身が、魔眼を疎む親になって、同じことを繰り返すのも嫌だったからです。王子としての根性でどこまでやれるかという話なので、もしミルグレンがいないのであれば意地でもそういうことをリュティスはやったでしょうが、ミルグレンがいる場合、出来れば彼女に自分が選び抜いた婿を用意して、ミルグレンに王子が生まれたら、その子を次の王として育てたかったのが一番のリュティスの理想だった)ミルグレンに相応しい夫を自分が選んで用意し、ミルグレンに王子が生まれたらその子を養育して次の王に育てたかったのです。

リュティスは本当に、隙あらばアミアなど、すぐにどこかへ遠ざけたかったほど毛嫌いしていました。

しかしアミアは決して国への使命(夫への想い)より自分の心を優先しませんでした。

だからこの二人の不思議な協調関係は最後の最後まで続いています。

私は男と女が同じ場所にいたら、すぐ男女の恋愛関係になるみたいな考え方がとても嫌いなので、こういう「天地ひっくり返ってもこいつと恋愛関係などにならん」という男女の協調関係も大好きです😊✨

勿論恋愛って素敵な事ですが、
同時に恋愛ってすげぇ面倒臭くもありますから、

絶対に恋愛とか考えないで済む相手って実はすごく素敵でもあるよなーって思います。

とにかくアミアとリュティスはそういう関係です。
根っからの「単に義姉と義弟」でしかないのです。

そういう二人が協力して守っている国が、サンゴール王国ということであり、

アミアの優先順位は
①娘のミルグレン
②魔眼持ちの義弟リュティス
③国のもろもろ
④メリク

なのです。

これはアミアが冷たいからメリクをほっといているのではなく、
致し方ない優先順位と言えます。

メリクは母親に依存する性格を全くしていませんので、この優先順位で良かったし、下手すると④でも高すぎると思っていたくらいなのですよね……。

いっそ他人にしてくれんか……と思っていたくらいなので、

そうなのですアミアは母親としての情も厚い人だからこそ、メリクを④に据えてしまっている。

母親としては自分の息子(のような存在)が④って優先順位低いですが、
女王としては無茶苦茶高すぎるのです。本来他人ですからね。

メリクからすると、アミアカルバの情の深さは、きつかったのです。
しかしリュティスに対して彼は「世界の誰も自分を理解してくれなくてもリュティスが認めてくれたらそれだけでうれしい」というこれまた極端な考え方をしてる人なので、


この三人、

メリクとリュティスは、アミアに【メリクを城の外に出して他人として扱う】ことを望んでいるけど、アミアはメリクを自分の息子のように本当に思っている


アミアとリュティスはただ【国に運命を捧げる】立場だけど、メリクは家族……というより誰か一人、自分だけを見てくれる人が欲しいと思っていた背景があり、


メリクとアミアは互いに【血は繋がってないけど自分を救ってくれた存在】と思っているけれど、リュティスは血が繋がってないんだから城の外に出せやと思っているという、


それぞれの望みと置かれた立場が見事に噛み合わないトライアングルなのでありました。


だからこの話としては、

ミルグレンの心配とリュティスの心配をしたあと、
落ち着いてからメリクのことを思い出す、アミアの優先順位を明確に書きました。

メリクがどれほど王宮において放っておかれた(これはメリクが望んでいるので別にいいんだけれど)か、メリクは私の本当の子供のような存在だ!! とアミアが口にしても、実際は大部分、メリクの強さに頼った関係であったこと、

メリクの心が離れれば、これほど誰も彼を繋ぎ留められないのだということをここではっきり書きたかったのです。

私は支配力の強い母親嫌いなので、アミアのように情で押して来る母親って嫌いなんですが、
女性としてはアミアのように情も厚いけど、最後の根っこが冷静で勘のいい所がある女性って大好きなんですわ。

アミアは最後の最後に女王である自分を取る女性なのですけれど、
だからこそ私は彼女が好きなのです。

アミアが最後の最後に「母親の自分」を取り、王弟リュティスと王位争いを起こすような、いかにも情だけで突っ走るような母親像の女性だったら、作者ですが無茶苦茶嫌いなタイプの女性でした。

しかし最後の最後でアミアはメリクを見捨てます。



私がアミアカルバという女性を使って書きたかったのはこの部分。



この、彼女がメリクを見捨てた時に、私はちゃんと一人の女王という使命を全うする女性が書けたような気がしたので、この部分は非常に思い入れがありよく書けたと思う人間模様です。

だから母親としての感情でリュティスと激しく遣り合うシーンもすごく好きですね。
リュティスは父性とか親としての情は持ちたくないと拒否してる系の欠落者なので、アミアみたいに「血は繋がってないけど私の子」みたいに情に縋る女は無茶苦茶嫌いなのです。

だから、自分に「メリクを探して」って彼女が願った時、リュティスが激怒し、アミアの母性を憎悪したのはそれが理由。

女王として不必要な母性なんかとっとと捨てろ!!!💢💢

っていう無性な腹立ちだったのです。
このへんも人によっては何をリュティス殿下そんなに激怒したんだろう? と怒りの理由見失う方いるかもしれませんが、「母性って時にすげぇ鬱陶しいもの」(母性の素敵さも勿論ある)ということを、理解出来てない人は、確かになんでリュティスがこんなに怒ったのか、分からない人もいるかもしれませんね。

ただ私はアミアの「血は繋がってないけど私の子」という母性も理解出来るけど、
リュティスの「母性なんて下らない感傷で国に混乱をもたらす奴を引き戻そうとするんじゃねえよ」っていう怒りも理解出来るのです。
特に彼の場合、自分の母親は自分を見捨てるのになんの良心の呵責も持たなかった女性だったので、リュティスの中で自分の女性のその所業は「女ってそういうもの」でとっくに片付いていたというのに、アミアは血が繋がってなくとも保護した子を最後の最後まで手放せない! って言うので、

余計古傷をえぐったのですね。

血が繋がってない子供も捨てられねえのに俺は血が繋がってるのに忌み嫌われて捨てられたっていう、そこで理論が破綻するからです。

リュティスの激怒はそういう背景がある。

冷静な部分では、リュティスはメリクが国を出奔した時、初めて「ああやっと目障りがいなくなった」とそれを一番に思ったと思います。

これは時を経て【魔眼】のエピソードで「消え方も不気味だった」とリュティスが回想してる通り、リュティスは孤児で行き場の無いメリクが、何としてもサンゴールにおいて高い地位で生きて行きたいと狙っていて、そんな突然消えられるならもっと早く消えられるタイミングあっただろうと思い込んでいるため、何かまだあるのではと警戒は緩めていませんが、メリクがいなくなったことで、リュティスの憂いが一つ消えたことは確かなのでした。



このエピソードは母性を巡る、人間の感情の複雑さを描いています。



よく「母親に子供は愛されたいもの」という言葉があります。
まあ確かにそうでしょう。
特に幼い頃は世界の複雑さとかとは子供は無縁なので、一番の守護者として母親にそういう意味で愛されたいのなら、100%そうだと思います。
自分に栄養を与える存在でもあるので本能的にもそう作られてると思うし。


しかし、ある所まで行くと、勿論そのままそういう考えで行く人も多いですが、

中には母親との関係において、

「愛とかもうどうでもいいから干渉してこないでくれんか」
「無関係になりたい」

と望む人もいると私は思っています。

そういうひとにとって母親の慈悲とは、

「愛してくれること」
ではなく、

「他人のように突き放してくれること」

だったりもするのです。

いつまでも手を結ぼうとされることが、
人によっては、上手く誰とも生きられない世界にされることと同じだったりもする。

これはもう一つ一つの母と子、個体によって違います。

そうなる運命だった人たちもいるし、
生きて行く上で、そういう風な流れになって行く人たちもいる。
ずっと母と子の結びつきが温かく強い人たちも勿論いるし。



しかし、私は個人的には「母親など要らない」と言う人の中には、
そんな無理しちゃって~~などと軽い気持ちで言ってない人も確かにいると思っています。

その人たちは心の底から、母親など要らないのです。

どんなに疎遠になっても母と子は繋がっている――。

なんかあくまでも最後の最後までそんな風に粘って結び付けて来て美談で終わらせようとする話とかありますけど、

いやどんなに粘ってもひっくり返らねえ人間だっているんだよ

というのは私の信条ですかね。

ですから私は書き手として、
「母と子供の強い結びつき」も勿論話として書きますが、
「全く心が繋がっていない、関係が立ち切れた母と子の関係」もちゃんと有り得ることだと思って書くことがあります。

人による。本当に。


メリクはそういう意味では、真の意味で「母親など要らない」と思う人でした。


だから自分のことで、アミアとリュティスに喧嘩などしてほしくなかったし、
する必要もないよと思っていたのです。

だけどアミアはメリクのことでリュティスと喧嘩をするタイプの情の厚い女性だったため、

メリクはある意味その母性の束縛が、本当に負担だったのでした。



母親というのも、

非常に作者の個性が出るものです。

私自身すごく捉え方に特徴が出ていると思いますが、

多分私自身だけの【母親像】を書いてしまうと、「この人の作品のどれを見てもなんか【母親】が嫌」という印象を読み手に与えてしまうと思うのです。

だから理性として、第三者的に様々な【母親像】を考えて、書いていきたいと思っています。決して偏ったりせずに、この世に千差万別の母親がいる、というのが私の持っている考えですから。

確かに作者の思う世界観を読んでもらうというのはあると思いますが、

自分だけの世界を描きたいわけではない。
私だけの世界など、所詮しょーもなく狭い面があります。

私だけの世界と、
私が第三者的に想像する世界、
私が理想とする素敵な世界、
悲しいかな現実の不条理な世界、
でも現実の、信じられないような奇跡の世界も。

そういうものを総合して、描き出すのが私の作品であってほしい。

実は自分の世界だけで、他人にぶつけて行くのは、私は結構嫌いなのです😊

一時そういうのを書いてたこともあるんですが、
ある時「これは作品じゃない。愚痴だ」と気づいて、そういう考え方で書くのはやめました。

愚痴を聞いてもらいたいんじゃない。

いい作品だな~~~~っ✨と、そう思ってもらいたいと思うようになれたからだと思います。

そういう風に私の考えを変えてくれたのは、やっぱり罵声を浴びせながらでも光を放ち、戦っている様々なスポーツ選手の姿ですね。
自分が苦しくても、戦う姿で、見る人を感動させてくれるあの人たちは、やっぱりすごいです!✨


そんな本日は大相撲初場所が8日目、六年ぶりの天皇が観戦なさる【天覧相撲】となっております。

なんかおめでとうございます!🥰

天覧相撲の日だから場所入りみなさん正装袴姿なんだって~✨✨
素敵だーっ✨ 色んな色の正装袴見れる!ひゃっほう!!

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