映画自体はとてもおもしろく、最後まで楽しめたのですが、
同時に、ホームレスの男性が不憫でならず
ぽつんと黒い染みが心に残る作品として記憶されています。
映画の中で、たとえば捜査陣の中から、
「ひどい」「なんてことを」「ホームレスも人間なんだぞ」
という風なセリフがひとこと出てくるだけで
映画の印象はちょっと変わっただろうというのがあって。
原作は読んでいないので、きびしく世の中や人間を見つけた結果、苦みのある描き方になっている可能性はありますし、小説ならそれは十分あり得るでしょう。
でも、ああいう娯楽映画として見せる場合は、殺人事件を犯す登場人物がそこまで追いつめられる、それはそれとして、背景にある社会は基本的な人権意識を持って成り立っているというのを描いた方が、犯人像もよりくっきりと浮かび上がるのでは。
あくまで極私的な感想と意見ですが、あの映画を観た後、ちょっともろ手を挙げてほめる気にはなれなかった記憶があったので。
原作は読んでいないのです。東野圭吾の訃報が届きましたが、いまからでも読んでみたいな、と。大勢の読書人が、『容疑者Xの献身』を褒めているので。