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リンデル王室史話——赤の守護者編前期 各話解説振り返り(1/2)

少し一区切りということで解説です
ヴィクトリア朝を中心とした時代の小ネタとか、話の裏側など。


参考文献リスト
https://booklog.jp/users/raishi16

以下ネタバレが続きますのでお気をつけください。



































・幕間 ギブソンの話(上)(下)
アルスママがぶっ飛んでたり先生も毒舌だったりで、若干ギャグ回をしつつ、最後はしんみり。
ギブソンはいまでもずっとこの頃のアルスが心の中にいるんだと思います。

しっかし、アルスはグウェルフ家の豪快要素ないですねえ。
当人は嫌でしょうがどう考えても性格の因子は父親譲りです。
なんか幕間の割に本編の背景匂わせが多めかも。


・第28話 変わる日常
憂鬱なスタート。
ここからどう持ち上げていくんだよって話ですかね。

ロイ登場回。一応、名無しですが第六近衛兵団編「24話 薔薇の棘」で事務員の少年として出てます。
ロイは頭が優秀で試験突破して採用されたタイプ。
けれども官僚のほとんどは、普通に有名大学の派閥などで構成されてる社会で苦労してます。
この辺も多少リアルな事情参考にしてます。


・第29話 図書室
静かで落ち着いた空間の図書室。
鎖付き図書などは実在するものになるんですが一度見てみたいものです。

リンデルは19世紀がベースの作品(時代をかなり色々混ぜてますが、ある程度はヴィクトリア朝後期がベースかな?)で、鎖付き図書自体廃れてる状況なので、作中でも過去の仕組みと書いてます。


・第30話 魔法陣
アルスの旅立ち回?
この一章は、全般的に静かめに淡々とアルスの孤独感とヴィクトリア朝の雰囲気を書き出すような話になってます。

少年がアルスに桃を売りつけようとしてます。
これ実はアルス、カモられてて、少年はぼったくろうとしてますね。
でも、アルスがあまりに律儀なため、流石に笑い出してしまいました。
また会えたらサービスしてくれそうですね。


・第31話 スープの味
ユーフェミアを目の前にして罪悪感に苛まれているアルス。
第六近衛兵団編ラストでユーフェミアが旅立ってくれたのは、幸いな面もありました。
この時期は少し落ち着いていますが、アルスの本音はユーフェミアの対応について「放っておいて欲しかった。余計なことを……」の思いがあったため。
それを表に出すのはいけないことだとも理解している分、会わずに済んだ時間は有り難かったはず。

そして、メリッサ。ユーフェミア至上主義ながらも、実はそれを邪魔しない範囲ではアルスのことも心配はしているようです。顔に出ないけど。


・第32話 お人よし
テッド登場回。
なんかぐいぐいきてます。
確か初稿はもう少しテッドのことを胡散臭く感じてるアルスだった気がしますが、それを感じるほど育ってないので、修正。

剣は強くても王族という特殊な立場の自覚も薄いし、危なっかしいアルスです。
ここにジャックがいたら……なifを書きましたが、胡散臭えとジャックは警戒してますね。


・第33話 オレと君との仲
テッドがアルスの持ち出したスリ話について、「労働者階級から盗るなんてプライドなさすぎ」と辛辣な言葉を放っています。
これは彼自身が過去「経験者」だから、だったりとかなんだったり。

そういえばしれっと説明なく王都警察《ログポリス》みたいなワード入れてます。なんかお気に入り。
スコットランドヤードとか書けないので……、笑


・第34話 作戦会議
貸本文化はヴィクトリア朝時代存在した物ではあるんですが、それっぽそうでかなりオリジナルに捻じ曲げてます。
リンデル王室史話の世界の方が貸本屋の存在感が強めで、ちょっと本のコストを高めと置いていたり。

貸本も本来の歴史であるなら会員制とかが基本かな?
リスト見てカウンター越しにやり取りしていたことを考えると、店先で万引きみたいなのは変なんですが。

本の裏に貼られる蔵書票の話とか、本をステータスとして飾るとか、そういう文献で見かける事柄を入れ込んだりしてます。


・第35話 貸本屋前の攻防
貸本屋でのスリ。
これは露骨なオリバー・ツイストのオマージュと思っていただいてもいいかもしれないです。
え? いっそパクリ?(ごめんなさい)
まあ、対応とか色々違うので……

泥棒が逃げる時に、嗅ぎ煙草を投げつけたという話は、参考文献リスト内のどこかで見たものです。


・第36話 勧誘
「第43話 素」まで進めば大体わかるかなと思いますが、アルスが何を言おうとしたかっていうと「銃持ってるから、お前が術不能者だと勘違いした」
ってな話です。
流石に差別発言がすぎるなと思ったものの、すぐにいい言い回しが浮かばなかったようです。 
テッドは術不能者どころか、むしろ逆で魔法スキル高くないと扱えない魔法銃もってたので相当に驚いた様子。

この話の中で、テッドがクロードのことを、「泥棒捕まえただけなのに、神官と喧嘩して牢にぶち込まれた」と表現し、ディレアのことは、「焦れて扉が破壊されそうだ」と言っています。
この姉弟、会う前から飛ばしてます。


・第37話 綺麗な靴
赤の守護者のパブはハーフティンバーチューダー様式のイメージで。
異世界ファンタジーは現実に忠実にしなくても良く、誤魔化せるのはいいんですが、固有の用語が使いにくくなりますね。
クリスマス書きたいんですが、それっぽいまんまの文化作っても上手く説明しなきゃいけない。
そのあたり解決してくれるのが転生転移物ですかねー

色々めざといディレア。
そうすごく警戒まではしてなさそうですが、情報屋してるだけあってアルスのことをチェックしてたと思います。


・第38話 赤毛
めちゃくちゃなやつが出てきました。
アルスも基本自責抱えがちな人間ということもあり、喧嘩を買う気はなかったんですが、流石にジャックをはじめとする身の回りの人間に関わる件を侮辱されては黙っておけず。
ずっと色々我慢してきた分爆発しましたね。

しかしこの赤毛、主要キャラになるというのに悪印象のスタートです。
でも5章書いてる時にこの話更新してたので作者的にはずっとクロードに同情的でした。


・第39話 決闘
がっつりバトルシーン。
これはこれで別解説があるのでそちらを。
https://kakuyomu.jp/users/raishi16/news/16818622176771604093


・第40話 なんのための言葉
元々関係のある人間でもないのに、わざわざ追いかけてまで、素直に自分の非を認めて謝れるクロード。
個人的には本当になかなかできない行為だと思うので、つまりそういう話。
あんまり物事を深く考えないけれど、日々全力です。
アルスもその素直さに圧倒されましたね。


・第41話 赤い布
丸く収まって締めつつ、年長組がこそこそと。
ディレアもテッドも抱えているものが色々。
クロード以外は隠し事の塊である赤の守護者でした。

 
・第42話 ラクス・オッキデンタリス遺跡
アルスもクロードには相当辛辣です。
出会い方が出会い方なこともあり、取り繕う気もなく遠慮なく発言ぶちかましてますね。
テッドやディレアのクロードに対する扱いも、比較的雑なはずなのでそれも影響してるかも。

遺跡の雰囲気は山口県の秋芳洞と、書籍の写真集から考えたもの。
魔法の中で、炎はやはり攻撃としてはダメージ与えやすいので使われがちと思うのですが、今回氷をセレクトしたのは一応ガス灯なので引火配慮したのかな?笑
この回は映像を想像してもらえたら嬉しいなと思います。


・第43話 素
クロードはディレアから叱られ、アルスもテッドから指導され。
テッドはアルスの指導が上手いですねー。色々ズバズバ指摘しつつもフォローする。
アルスは真面目なのと立場もあって、よっぽど大きくは叱られてこなかったと思うので、あんまり言うと凹み過ぎちゃいます。

そして、自分のことを何も知らない上、子供扱いすらされるこの場所。アルスにとって特別な様子です。
日々過ごしてきた周囲の人間も大切なんですけど、きちんとしたいい子でいなければの気持ちが強くなっちゃうかな。


・第44話 調査報告
なかなか本物が出てこないパトリック。
小ネタで言うと、なんかあの、基本的に手紙は手渡しNGで、銀盆に乗せて渡すはずなので、ロイは一応気にして確認してるんだと。
ジャックも手紙回で盆に乗せて渡してますね(気づく人は気づいてるかも?)


・第45話 硬貨
ギルくんの貨幣講座回。
お金は英国貨幣そのままテキスト置き換え。
麦酒手当は実際あったらしい制度の一つ(常態的につけられるものかはわかんない)
リアルに合わせると、禁酒かかった時期も「ただしビールは除外!」とかあったようですが、現代の創作物なので、未成年飲酒はとりあえず批判ぎみ(※20歳未満のんだらだめですよ!)
水よりビールの方が安全という事情もあったんですが、そこまで本物に寄せるのはやめてます。

そして、ギブソン「大佐」の件。
第六近衛兵団編の終わりの王とのやりとり時を書いたタイミングでは、実際の階級どうするかは確定させておらず悩んでたんですが……
ギブソンが結局大佐のままなのはメタ的な理由が大きいです。
私、比較的現実世界でセリフを口にするタイプなんですが。
「ギブソン少佐」難易度高っ!!!(滑舌ー)

みなさんも、早口で3回連続、さあどうぞ!「ぎぶしょんしょーしゃっっ!!!」
ヴぇフン……(咳払い)
王がそれほど強権持ってるわけではないの表現としても使えるし、大佐で馴染んだしまあいいかと考えました。


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