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童話第三作目

こんにちは。
今回は、童話シリーズ第三作について少しだけお話ししたいと思います。


この物語の“表のテーマ”は、とてもシンプルです。
自分を信じること。他人と比べすぎないこと。そして、一歩を踏み出す勇気。
子どもたちが抱える「比べてしまう気持ち」や「自分だけが遅れているような不安」は、大人になっても心のどこかに残り続けるものだと思います。
誰しもが、ふと立ち止まる瞬間を経験するからこそ、この物語を通じて小さな一歩を思い出してほしいと願っています。
だからこそ、カゲロウは今回、誰かの未来を“決める”のではなく、「決まっていない未来の光」をそっと届ける役割を選びました。


一方で、この物語には“裏のテーマ”もあります。
それは、未来の本質は「可能世界」であるという考え方です。
未来は一つではなく、無数に枝分かれし、どれもまだ途中で、どれも揺らいでいて、どれも美しい。
けれど、未来を「知ろう」と強く覗き込むほど、その揺らぎは細くなり、可能性は狭まってしまう。
未来を固定してしまうことは、時に“選べる自由”を奪い、今の自分たちの可能性までも過去のものとして縛り付けてしまう。
三作目を構成する中で、この結論にたどり着きました。
だからカゲロウは、未来を覗くことをやめるという選択をしました。

それは何もしないことではなく、子どもたち自身が未来を選べるように、“揺らぎのまま残す”という、とても勇気のいる行為でした。


きれいごとに聞こえるかもしれません。
でも、未来は希望であってほしいと思っています。
決まっていないからこそ、未来は自由で、優しくて、誰かの一歩によっていくらでも変わっていく。

この物語が、「自分の光を信じてみようかな」そんな小さな勇気の風を、そっと胸に運べたら嬉しいです。

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