皆さん、こんにちは。今回は、童話シリーズの第二作をお届けします。
この物語は、前作に続き、カゲロウという光と影の両方を抱えた存在が、子どもたちの忘れられた希望を取り戻す旅を描いたものです。
虚世界と現世、二つの世界を渡り歩く彼の旅を通じて、希望とあきらめの対比を表現しました。
この物語では、失敗を必要以上に恐れないこと、そして失敗を認める勇気を持つことの大切さを描きました。
子どもたちが泥にまみれた希望を「これでいい」と受け入れるシーンには、失敗もまた成功への一歩であるというメッセージを込めています。
完璧でなくても、前を向く一歩が未来を切り開く――そんな思いを、読者の皆さんに感じていただければ幸いです。
裏テーマとして、虚世界の特性や時間の流れを、物理学的な視点から構築することにこだわりました。
現世では時間が現在から未来へと一方向に流れていますが、虚世界は反転した世界として、時間が現在から過去へと逆向きに流れていると考えました。
この時間の逆行は、虚世界が「記憶の砂漠」として過去の出来事が埋もれる場所である理由を表しており、まるで時間の矢が逆を向いているかのような感覚を表現しました。
カゲロウが境界をくぐる際の重さや、逆向きの風に押し戻される感覚は、この時間の反転による物理的な影響を体現したものです。
また、虚世界の風景も独特なイメージで描いています。
銀色の記憶の砂漠は、時間の流れが逆であるがゆえに色や生命が失われた世界として、静かで冷たい銀色の粒子が広がる荒野をイメージしました。
遠くで瞬く記憶の光は、過去の断片が星のように散らばる様子を表し、虚世界が持つ切なさと幻想性を強調しています。
さらに、虚世界で問題が起こった際の対応にも、時間の流れを考慮した仕組みを設けました。
過去改変は現世に非常に大きな影響を及ぼすため、虚世界では直接的な介入や改変を避け、あくまで「観測」に留めています。
カゲロウが希望の星を観測し、問題の原因を捉える役割を担うのはこのためです。
そして、解決は現世で行う形を促すことで、時間の流れを乱さず、子どもたち自身が未来を切り開くきっかけを作っています。
この仕組みは、時間の整合性を保ちながら、二つの世界のバランスを維持する試みでもあります。
このような物理学的な視点を取り入れた世界観を通じて、読者の皆さんに時間の流れや世界の違いを感じ、想像を膨らませていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。今後も不定期ですが物語を作りたいと考えていますのでよろしくお願いいたします。