最近全然創作出来てないのでリハビリしていこうと思います。短編ですね。サラッと書こうと言う事で、近況ノートに書き殴りますぜ。書きたいものをなッ!
連載作品の1話的なものばかりになると思いますが、どうかご容赦を。思いついたシーンだけを書くのもいいかな。何にせよ行きあたりばったりです。
空を見ていたら、突然世界が割れた。ほんの一瞬だけの違和感。それはすぐに収まったけれど、この時には既に何かが変わっていた。この感覚が真実なら、世界が変わったのか、私が別の世界に移動したのか、それとも――。
「おーい」
呼ぶ声に振り返ると、そこには鬼の少女がいた。見覚えはある。友達の八重子だ。見た目は同じなのに頭に可愛い角が2つ。ラムちゃんかな? 勿論コスプレかも知れない。知らなかった、彼女にそんな趣味があっただなんて。
八重子はまっすぐ私の前まで走り寄ってきて、満面の笑みを浮かべた。
「奇遇だねえ。休みの日に会うなんて」
「八重子……だよね?」
「そだよ、どうしたの? あちしの顔忘れたのかよう」
八重子はニコニコと笑いながらバシバシと私の背中を叩く。どうやら見た目以外は変わってないようだ。私は安心して彼女の全身を改めて眺める。休日らしく私服姿の八重子は初夏の季節に似合うコーデを着こなしていた。
もしかして、頭の角も彼女のマイブームか何かだろうか? もしかして私が知らないだけで周りで流行っているとか?
「角、可愛いね」
「は? なんで今更? 照れるし」
「え? でも……」
「何そのリアクション。今日のリリ変だよ? まるで初めて鬼を見たみたいじゃん」
八重子は軽く頬を膨らませている。もしかして、鬼が普通の世界に転移した? 私はすぐに自分の頭を触るものの、どこにも突起物は確認出来なかった。
この仕草を見た八重子はケタケタと笑い出す。
「本当、どうしたの急に。リリは鬼じゃなくて悪魔じゃん」
「え?」
八重子の衝撃発言に私の身体は固まる。悪魔と言えば背中にコウモリの羽と尻尾のイメージだ。すぐにそれらを確認したものの、触った限りではそう言うのは存在しなかった。
私はからかわれたのだと思い、八重子に愛想笑いを投げかける。
「もう、私のどこが悪魔だよ」
「その牙でそれ言う?」
「え? えっ?」
指摘されて歯を確認すると、確かに鋭い牙が生えていた。生えているはずのない牙が。そして、悪魔なんだと認識した途端に羽と尻尾も出現する。さっきまで何もなかったのに。
その唐突な変化にパニックになった私が気がつくと、地上20メートルくらいの高さにいた。意思とは無関係に飛んでしまったらしい。制御出来ないまま、私は糸の切れた凧のように空中でアクロバティックに飛び回る。
「キャアアア」
「リリ、どうしたの? 普通に飛びなよ」
「ムーリー!」
練習もせずに初めて飛んで上手く行くはずがない。自転車だって補助輪外した当初はコケまくるものだ。しかも悪魔の浮遊って羽を羽ばたかせて飛ぶものじゃないらしい。原理がさっぱり分からない。分からないから制御のしようもない。グルングルン回って目が回る。
突然の異常事態の連続で、私の頭の中は真っ白くなっていくのだった。
「あ……れ?」
気がつくと、保健室のような部屋で寝かされていた。そして白衣を着たヒゲのおじいさんが覗き込んでた。お医者さん……?
「おお、気がついたようじゃな。君は魔力の制御不能に陥ったようじゃ。気の流れを整えたからもう大丈夫」
「あの、私……」
「分かっておる。君が悪いのではない。こちらにいたはずの君が君のいた世界を望んだ結果じゃな」
ヒゲジイは私に起きた事態を把握していた様だ。流石は賢者っぽい見た目をしているだけはあるね。
「私、どうしたらいいですか?」
「君に覚悟があるなら、ワシが送り届けよう。ただし、悪魔の身体のままでいいのであるならじゃがな」
ヒゲジイいわく、元の世界で私の代わりに人間になった悪魔だった私を見つけて、その私をこっちの世界に戻せれば何もかもが元通りになるらしい。強制的にこっちの世界に飛ばされた以上、私はすぐにこの話に乗っかった。
「是非お願いします!」
こうして、私は元の自分に戻るために悪魔の姿、悪魔の力を持ったまま元の世界に戻る事になる。それがどんな事態を引きこすのか何も知らないまま――。