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異世界に転移した話、最後は戻ってくるの?

 これも前にツイッターで見たネタなのですけど、その人は異世界転移系のオチについてつぶやいていたんですね。元の世界に戻るのかどうか? 正しい答えは『作品によって違う』です。求められていた答えは違うものと思いますけど。

 異世界系ラノベが流行る前から転移系の話は書かれていました。ただ、ラノベのパターンと違うのは、転移される世界が主人公に優しいものとは限らなかったと言うところでしょうか。運良く剣と魔法の世界の飛ばされても、主人公は他の物語と同じように努力と多くの仲間達の力を借りて九死に一生のハラハラドキドキな冒険を繰り広げたものです。

 そして、以前の転移モノのゴールは冒険の終わりでした。そう、元の世界に戻るのですね。そもそも、元に世界に戻るためにその世界で苦労したのですから。昔話の時代から非日常の世界に迷い込んだ主人公は日常に戻るのがお約束、鉄板だったのです。若者が旅をして経験と価値観をアップデートして、地元に戻ってそれを活かす。冒険物の話はその仮想体験で書かれたものだったのですね。

 これは異界から来た人が現代社会で活躍する話でも同じでした。例えば昭和の魔女っ子モノが分かりやすいでしょうか。修行のために人間界にやってきて騒動を巻き起こして成長した後は魔女界に帰っていく。ハクション大魔王も最後は別れが待っています。それが王道だったのです。

 ではいつからその王道が崩れたのでしょうか? 私は浅学なので、その始まりがどの作品かは分かりません。ただ、それを大きく決定付けたのは『うる星やつら』だと思います。物語のラストでヒロインのラムは故郷の星には帰りませんでした。これはそれまでの王道から外れます。一応あたると別れる体で物語は進むのですけど、最後の最後にどんでん返しが起こるんですよね。
 この展開、当時読んでいだ私はかなりの衝撃を受けました。何故なら、今までそう言うパターンの話を読んだ事がなかったからです。

 うる星やつらほどの作品が定番を覆したのですから、その後はポツポツと同じ流れの作品が作られ始めます。今では異界から来た人物が最後に完全に現代社会と縁を切る作品を探す方が難しいのではないでしょうか?

 そう言う流れを経てからの異世界転移ものです。ラノベは受けるために極限に読者の意向に寄り添っていく展開をする物語。現代でいじめられて生きるチカラを失った若者が異世界でちやほやされて、今更現代に戻ろうと思うでしょうか。答えは否です。読者も現実に戻って欲しいなんて思わないのではないでしょうか。何せほぼ例外なくラノベで異世界転移するキャラは現代社会で居場所のない設定なのですから。
 読者と言うのは主人公が最後まで幸せでいて欲しいと思うものなので、現実に戻ってまた不幸になる姿なんて見たいとは思わないはずです。

 そう考えてみれば、昔の転移モノで転移する主人公は今の転移モノで転移するキャラとは違いますよね。少なくとも現代社会で居場所のないキャラではなかった。その辺りも物語の構造が変わった理由のひとつなのかも知れません。現代社会にしっかり繋がりがあるから、その世界に戻りたいと思う理由があるから最後には戻るんですよね。
 今の転移モノの主人公にその強い思いはあるでしょうか? まぁ探せばあるのでしょうけど。

 考えてみれば、これって地元を離れて別の土地で暮らす事に近いものがあるのかも知れません。地元と縁を切って別の土地に移住して二度と地元に戻らない人、今の異世界転移モノはそれのメタファーかも知れませんね。

 異世界転移ラノベでも元の世界に戻るパターンはあります。チートモノの話の場合、そのチートをが失われずに戻れるのが普通です。だから戻ってもまた元の世界で無双出来るのですね。このパターンならそれまで読んでいた読者の多くはこの流れに異議を唱えない事でしょう。
 そう言う抜け道があるから、作品によって展開は違うと言わざるを得ないんですよね。

 本来の異世界転移モノは長い長い夢のようなものでした。冒険はしたけど、起きたら元通り。今のラノベやWEB小説でそのパターンを踏襲しても、きっと受けないのでしょう。そう言う仮想体験もあっていいのですけどね。

2件のコメント

  • ところがですな、ほぼ元祖異世界トリップ物と言っていいE.R.バローズ『火星のプリンセス』(を始めとする火星シリーズ)は戻らないんですよ。
    ときどき戻って親族の子孫に自分の手記を手渡してる(その手記こそ作品)というような話はチョロッと書かれてたりはするんですが、異世界(それが火星であるところが時代を感じさせますが)に定住して、プリンセスと結婚して子孫作って幸せに暮らしてるんですよ。

    対照的に、元祖「タイムスリップ内政チート」のマーク・トゥエーン『アーサー王宮廷のヤンキー』は「結局全部元の木阿弥」になったあと戻ってきてるんですね。まあ、こっちはタイムスリップものだから歴史を変えるわけにはいかないからでしょうけど。

    あと、「夢を見る」系冒険って、今はVRゲーム系になってるのかなとか思ったり。別にデスゲームとかにならないVRゲーム系って、ログアウトしたら元通りですし。
  • 結城藍人さん こんばんは☆彡

    元祖異世界トリップモノ……そう言うのがあったのですね。異世界転移で最後までその世界に居続けるパターンってそこまで新しいものではなかったのかぁ。黎明期に全てのパターンはやり尽くされているのかも知れませんね。手塚漫画が漫画の大抵のオチをやり尽くしているように。

    そう言えばVRMMORPG系の作品って、原理的に現実世界に戻りますよね。トラブルがあって戻れない系――ログホラやオバロみたいなのは最後ちゃんとゲームから戻ってくるのかなぁ? アレ系の話の最終回の展開はちょい気になりますね。
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