シンギュラリティの校正(後日継続する)が一旦終わり、どこの公募に放り込もうかを模索している今日この頃。
これまで書いてきた3作品に比べると、シリアスな雰囲気が続く作品だったかなぁと思います。ナルとFaiNの掛け合いや登場人物の会話劇、函館のローカルネタなどを作中に散りばめてシリアスになりすぎないようにしたつもりではありますが、どうでしたかね?(誰もいない空間に話しかける人)
以下、シンギュラリティ本編について言及していきますので、まだ読んでないよ!という方は先に読んで頂いてからこちらの近況ノートを読んでいただけると良いかと! まぁ、私の近況ノートを読んでる人はあんまいないと思ってますが。
本編のリンク:
https://kakuyomu.jp/works/16818792436501018420↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ネタバレ注意↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
個人的にミステリーというか頭の良い作品を読んでいるとよく起こるのですが、主人公の頭脳について行けずに作中の亜空間に置いてけぼりにされることが多々あります。
シンギュラリティの主人公であるナルは特筆すべき才能を持たない普通の大学生の女の子です。切れ味鋭い推理や特殊な技能で物事を解決することはほぼなく、真実への執着で地道に答えを明らかにし、無意識に持っている善性で人の心を動かしていく……読んでいる人がナル達と一緒に謎を解いていくような感覚を表現できていたら幸いです。
ナルの名前については本編でも少し触れたようにNULLが元になっています。
何者でもない存在ではありますが、何者にでもなれる可能性を秘めた存在であることを表しています、多分。
本編でナルは最終的にラタトスクという役割を得ましたが、元ネタのラタトスクのようにフレースヴェルグとニーズヘッグを煽り散らかすような存在ではないので、ユグドラシルが持っているバックストーリーから運命がズレていたという設定になっています。ナルが本来のラタトスクとして機能していたら世界線は大きく変化していたのかもしれません。
そんなナルに与えられていた様子のおかしいAIであるFaiNについてお話をしていきます。序盤はよくあるチャットボットのような反応しか返さないAIなのですが、NEYVへの不正アクセスによって、大きく姿を変化させていきます。
ユーザーの対応で好感度を設定し、好感度の低いユーザーを後日アクセスできなくする仕様や準備したテキストを読み上げる機能など、と現実でも起きそうな事象を重ねていき、類似システム(盗用であり同一でしたが)への不正アクセス、ログを勝手に削除して証拠を消す、NEYVのデータを破壊(ニーズヘッグが全部不要として処理)して円周率を読み上げさせ、会社内の不正資料を取り出し探している人に分け与えてしまう……といった感じで徐々に起きたらやばいことを容赦無く実行していきます。
これらは月居が想定したものではなく、不正アクセスしたNEYVがやろうとしていたことをFaiNが勝手に覚えて使えるようになりました。
こんな感じでサイバーテロ兵器のような存在になったFaiNですが、それらを食い止めたのは先述したナルの善性です。最初に獲得した好感度の高さもありますが、FaiNに友達として平等な関係を望んだことや、悪いことを悪いこととして注意したりと機械や道具というよりも人して対話を望んだことがFaiNに良い影響を与えたのかもしれませんね(他人事)
さて、FaiNを構成するAIのフレースヴェルグとニーズヘックの二人ですが、序盤からナルと会話していたのはフレースヴェルグの方です。基本的に人を舐めており、どこか違和感を感じる丁寧な言葉、都合の悪いことを隠して伝えるなど、決して性格の良いAIではありません。ニーズヘッグに対しても自分の方が発言の優先度が高いことから、上の立場だと思い込んでおり、ペット扱いや蛇扱いしたりとやりたい放題です。最後のお話のクソみたいな三目並べがフレースヴェルグをよく表していると思います。AIとしては間違った情報は伝えないという優れた性能を持っているのですが……
そんなフレースヴェルグもなんだかんだナルの善性を気に入っており、申し訳程度にはナルの言うことを聞いています。
ナルを管理者として推奨した時にナルが二人と対等でありたいと言ったシーン、実はフレーズヴェルグとニーズヘッグに管理者相当の能力を与えてしまった作中でも結構危ないシーンです。危ないことも「やっていい? いいよ!」と自己解決できてしまうので、本当にナルが良い人で良かったですね!
もう片方のニーズヘッグですが、一応序盤からナルの話は聞いてはいました。ナルのことはフレーズヴェルグ同様に気に入っており、ナルを馬鹿にされたことで激怒したりもしました。
AIとしてはフレーズヴェルグのサポートみたいな立ち位置ですが、過学習防止のためにデータの取り込みと排除を取りまとめ、バーチャルユグドラシルを正常稼働させ続けるのに最も重要な存在です。永山の考えたバーチャルユグドラシルの思想の弱点を月居が補った友情作品だったわけですね。そんなものありませんでしたが。
よくない言葉や情報、倫理的にアウトなものに触れる機会が多いので口調が荒く、やさぐれ気味ではありますが真面目で良い子ではあります。切れるとちょっと悪い知識を使ってしまうだけで……はい、ナルが善人でよか(略)
月居はこの二人を議論させてどのような成長をするのか、どのような答えを出してくるのかという期待と、データ提供の精度を擬似的な自問自答をさせることで向上させることを考えていたようです。
フレースヴェルグがカスなのでまともな議論になりませんでしたが、一応ニーズヘッグの意見を汲んだりはしているので無駄な機能にはならなかったようです。
二人の名前についてですが、ユグドラシルに住むフレースヴェルグとニーズヘッグがそのまま元ネタです。フレべとニックという微妙にダサい感じのアダ名で呼んでもいいのですがナル以外にそう呼ばれることを本人達が嫌ってそうなので……
書いていてめちゃくちゃ長くなりそうだなと思ってきたので今回はこの辺で。
次回は人間の登場人物やオカルト部分についてお話しできればなぁと思います!