千影えく

　仕事に疲れた「僕」が真夜中の公園で見つけたのは、何の変哲もない自動販売機ーーかと思いきや、それは、ほんの少しだけ特別な販売機だった。 （2015初稿・2022改稿）

　一般家庭用ロボットである「私」は、ある日、主人であるマスターから一冊のノートを渡され、「日記を書く」という業務を命じられる。記念すべき初日の日記に、マスターが付けた点数の低さに…

　西暦二〇三七年。かつて夢物語だった生命維持睡眠技術――俗に言う「冷凍睡眠」が現実のものとなり、関連ビジネスは日本国内においても着実に普及しつつあった。だが、「冷凍睡眠」の認可に…

　完全人工出産が全国民に強制適用されるようになった未来の日本。進歩した技術は、出生児のゲノムをコントロールすることで、将来その人間に開花する「才能」までも任意操作できるまでに至っ…

2025年4月。 仕事の空き時間に、ポイ活感覚でカクヨム投稿を始めた。 脳内はバラ色だった。 僕は小説もいっぱい読んでるし、ストーリーもきちんと構築してる。 WEB小説なんて読…

【改題「ちぐはぐな僕の一等星」として角川文庫から刊行】高校一年生の葛城和斗は、訳あってバーチャルライバー事務所に移籍した元・子役。ユニット〈一等星旅団〉のメンバーとしてバーチャル…

刑事である難波は上司である須子警部から電話を受ける。その内容は「数字の7が数字の3を殺した」という一見不可解な事件だった。 もし本当に3という1つの概念が死んだのならば、我々人間…

友人・紺野の葬式のために大阪を訪れた誠一。十年ぶりに再会したいとこ・あやめと共に、彼は紺野からの遺言を開くが……。 ―――――― 【備考】 行間をあまりとっていないのは意…

暗闇の中、布団にくるまる姉妹の会話。抗うつ剤で感情が希薄になる姉と、過去のトラウマを抱えつつ希望を見出す妹。実家の呪いのような記憶を共有しながら、絶望と未来への願いが交錯する一夜…

三本の巨大な牛蒡が空から降って来たあの日以来、東京の人々の食生活は牛蒡中心。東京在住の“私”は、勤務先の新作コレクション発表会に足を運ぶが……。 ―――――――― 【文学賞…

あらすじ　　　　 　いじめられっ子の色鳥松葉（14）は文部科学省の阿雲圭一から『イジメられると報酬がもらえるシステム』のサンプルに選ばれる。 　その翌日、早速学校で土師美月ら…

多分半分ぐらいは本当にあったお話。 誰に話すあてもない思い出を、一片の花びらのように机にのせて。

兄がその女性を連れてうちに帰ってきたのは、冬休みの終わる直前のことだった。 きらきらとした笑みを浮かべる彼女は、冴えない私なんかとは違う都会の人だった。 ──変わる家族の形と…

小学一年生の少女・沙耶は、いつも明るく笑っていた。 でも、その笑顔は「いい子」でいるための仮面だった。 母を病で失い、父の愛を求めて必死に笑い続けた少女。 やがて現れる“新しい母…

中学の同級生、恵理子と千歳。 大人になった彼女たちは、今回も三年ぶりに再会した。 ふたりは、特に当時仲がよかったわけではない。 共通点といえば、自殺した女の子のいるクラスにどち…

俺の国は、もう敗ける。だからきみだけはどうか、うつくしくあってくれ――。 聖騎士団の掟を破り、敵国サイドの幼女な帝国科学者に、恋人の美的保存を頼むが――？

感情なんて非効率的だ。 人類がそう気がついてから、それなりの時間が経った。いまでは、感情を身体から切り離してアプリ化しておくのは当たり前のことだ。 アプリを起動すれば対応した感…

私はもう、見ないふりをする。 ＊クロノヒョウさん主催、第59回「2000文字以内でお題に挑戦！」参加作品＊ ・2000文字以内で完結すること ・お題に沿った書き下ろしのみ ・お…

私は、サーカスの見世物のうさぎ人間だから。だからその恋がかなわなかったのかも、しれない。

この国をつくったひとは子どもが大好きだった。 だからひとびとの遺伝子をいじって、１００人にひとり、永遠に大人にならない子どもがあらわれるようにした。 時が経って、ある日の同窓会…

学生時代、野暮ったい私を神のごとく支配していたあの子が、人魚になったと聞きました。 なので、気になった私は、水族館に行くことにしました。 夜デート。 あか抜けた社会人となってい…