偉そうに惜しかったなどとつらつら書いてみました。
私の感じたことにはなるので正否は不明ですが、書いた方の役に立てばうれしいなと思っています。またこれを読むすべての人にとって「なるほど」でもいいし「これは違うのでは?」でもいいので書き出しを考えるときの切り口になったらよいのかなと思います。賛も否も大歓迎です。一緒に結果的に良かった感じにしてください。
灰神楽の地/籠崎 莉々さん
https://kakuyomu.jp/works/2912051603267899056カクヨムで企画やってるとよくラノベっぽい異世界ものでご参加いただきます。無職転生とかオーバーロードとか、それからロードオブザリングやハリーポッターも好きなので私はファンタジー好きです。この物語からはライト過ぎずしっかり気合を入れたファンタジー小説の冒頭を感じました。良かったです。ファンタジックな描写に身体的な感覚が重なって進むとこがいいのかなと感じてます。肩を掠めた~からはじまって誰かの身体を軸に進むので、建国の伝承の1ページ目感も人間の物語性も同時に感じてそこが特によかったのだと感じてます。
カクヨムでよく拝見するライト系の物語は冒頭がすごい説明的だったり、会話だけで進行したり、読者を置き去りにしガチだなと思ってます。本当は体験を通して伝えてほしいのに。籠崎さんは両立しようとしてる感じがしてそうそう!こういうの!ってなりました。
ただ今回のこのレギュレーションでは惜しくて、神話として完成しているのですが、より身体に落としてもいいのかも?と感じました。文体や高い意識の魅力は伝わっている。ただもっと人物でも、時代でも、次に起こる出来事でもいいので、もう一つ具体的に掴めるものが1つほしかったなと感じてしまいました。説明的じゃないからいいと言っているのだけど、どこかにかっちり理解できる足場が1つあった方が続きに駆け出しやすいかもという感じ。この物語の速度はキャラや出来事に移ってからよりノってくるものなのかもと感じます。文字にしたらなんてわがままなんでしょう。でも私も読者なのでわがままを一旦そのままお伝えさせていただきます。
書き出しとしてはちょっと惜しかったのですが、少なくともファンタジー小説はこれくらいこだわって書いてみてほしいなと思います。これからもぜひ、がしがし書き続けてください。
ギャルルルル!ギャルが戦車に乗ってやってくる!/荒川瀰都土(みつち)&産土(うぶすな)さん
https://kakuyomu.jp/works/2912051603235476761ちょうどこれを書きはじめた時に、別の近況ノートへいいねをいただきました。触れるのが遅くなってしまって申し訳ありません。惜しかったというより、今回は400字の中で私がうまくはまれなかったです。
戦車の走行音が「ギャルルルル」と聞こえるところからギャルを発想するのは「なるほど確かに!」と思いました。タイトルも強いです。ただ私はギャルが戦車で喫茶店に訪れるという取り合わせと舞台設定に最初の400字ではうまく乗り切れませんでした。
最初にコメディーなのかな?と感じました。ただ、戦車乗りの話でジャンルはSF、暴力描写・残虐描写あり、マスターが日本名で、舞台は荒野です。
戦車が闊歩する荒廃した日本だと考えると、妙なとりあわせに笑っていいのか、戦争や文明崩壊の重さを読むべきなのか、ギャルの要素が今後どう絡んでくるのか。いろいろな可能性を考えたのですが、今回の400文字の範囲では「私はこの温度で読めばいいんだ」と着地するところまではいけませんでした。
普段ポストアポカリプスもの、ミリタリーもの、女の子の魅力がメインになる小説を読んでいたらスッと入れたのかなとは感じます。実際すでにたくさんの方が読んで盛り上がっているので。なので必要ないかなと思いつつ、もしより広い読者を求めるなら、ジャンルに慣れてない私みたいな人にも入りやすい入口が1つあるとよいかも…?とは感じました。
でもジャンルに尖ることって大切です。「門外漢の私がわからなかった」はむしろいいことかもしれない。界隈に尖る、正しくそのジャンルを突き詰められているということだとも思うので。
なのでお伝えするか非常に悩んだのですが、正否ではなく1つの別視点として伝わったらいいかなと思い書かせていただきました。
劣性/とるてたたんさん
https://kakuyomu.jp/works/2912051603231389531/episodes/2912051603252691139惜しいっ…!すいません、関係性に任せて遠慮なく言ってます!
安楽椅子からはじめて、安楽死、最後に組み合わさって安楽椅子探偵、流れがあって冒頭の引きになってます。
安楽死という重さのあるテーマワードを匂わせる安楽椅子、探偵というシャーロックホームズとコナン君のおかげですっかりポップな印象になった役柄が組み合わさっていて「どういうこと?」となります。展開のおもしろさがあります。
ただそこまで辿り着く流れの間、もっと暴れても、あるいはスッと進んでもよかったかもです。私ならそうしたかな?
具体的には『仕方がないことだ。前々からそのような声は上がっていたから。安楽死をした人達への配慮という言い分も、理解はできる。』ここ少し勿体ないかも?と感じました。言葉の配慮による窮屈さについて、主人公が事なかれ主義で受け入れていく感じでいいのですが150字なら省いてもよかったかも…?
「1分しかないねんけど、まず前々から世の中でこう言われてたことは知ってるよね?」はちょっと時間がもったいないかも。もっとキャラクター独自の魅力的なクセつよ思考を語るべきだったかもです。
「安楽椅子をイージーチェアと言い換えるなら、安楽死もイージー死といえるかもしれない。死って重厚で怖いからイージー死くらいのお手頃さなら私にもちょうど良さそう」みたいな?内容はご自身の感覚やこの先のイメージに合わせるとしてキャラクターの個性的な語りの方がいいかもです。物語の事実確認を進めるより、もう一歩踏み込んだキャラクター性を見せた方でもいいかも?
または単に省略して「~今度名前が変わるらしい。」から「無駄に敵を増やさないように~」に直接つなげて、その分もう少し先まで語ってもよかったように感じました。そしたらキャラクターが本意ではないけど抵抗なく受け入れてるところは変わらずもう一歩踏み込めます。
劣性というタイトルもおもしろさが臭うしキャッチの『仕方ないですよね、不謹慎なんだから』も良いフリになってるしで、きっともっと自意識で暴れてみてよかったです!少なくとも私は暴れてるとるてたたんさんを読みたいです!
凍蛙/dedeさん
https://kakuyomu.jp/works/2912051603702242337シンプルです。凍蛙が魅力的過ぎて本文でもう少し聞かせて欲しかった…!
凍蛙!いい!でサブタイトルに蛇があって、水着の話だし脱皮が連想できるな。水着は夏っぽいから『凍蛙』との対比がより効いてきそうだな。夏の海の熱い中、蛇に睨まれて凍る蛙みたいな?水着を着れなくなった彼女が蛇で主人公が凍った蛙になるのか…?もう一捻りしてまた別の展開に…?と勝手に続きを想像しました。
まず主人公の親しみやすいキャラクターが良いですね。この葛藤には自然と共感できるし、恋人も主人公もどっちの気持ちもわかるのでどうなっていくか楽しみです。またちょうど400文字で切れていて『ところがどっこ』なので「ここから急展開するんだ!」ってすっごいなりました。
でもタイトルの『凍蛙』、サブタイトルの『蕩ける蛇』から感じる魅力と本文の書き味が少もうしリンクした方がいいのかも?
文学的な魅力のあるタイトルに対して、本文は主人公の素直なリアクションで進みます。きっと結末まで読めば素直な出来事からはじまり、タイトルの意味に届くまでのギャップがドシンとくる持ち味になるのかなと想像できます。
ただ冒頭だけで読む場合には一口だけでも本文内に似た文学味がほしかったです…!なんかこう、凍蛙、蕩ける蛇、みたいな「ワードセンス…っ!」ってなる要素や「なんだこの文章構造…!」みたいな、どこかに似た鋭さを置いておくと、タイトルと本文が繋がって勢いのままにもっと「うおー!」ってなる書き出しになったのかなと感じました。
以上の4作が惜しかった書き出しになります!あーだこーだと言ってますがどれもそれぞれに面白さ、良さを感じます。
また書き出しとして見た時視点なので物語全体でみたら私も「惜しい」なんて忘れて「ぜんぜんええやん」って言うかもしれないです。
私としてはみなさんの書き出しを読ませていただいて「こうした方がいいのかも…?」などとあれこれひらめいたり、いや違うか…ってなったり考える時間が楽しかったです。そのうえでお役に立ったらいいなと思います。