今回のタイトルは「カミの子たち」ですが、これはトッド・ブラウニングの映画『フリークス』(1932)の最初の邦題『怪物團/神の子ら』をちょっと意識しました。
ちなみに「怪物團」のほうはアンナ率いる少年たちの盗賊団「怪物団」の名前に拝借しました。
『フリークス』はサーカスのサイドショーで芸人として働く障害者や奇形児を主役にしたB級ホラーです。
典型的なB級映画ですが、自分はむかしから好きで折に触れて見返しています。
むかしの人はよく子どもに対し「サーカスに売るぞ」という脅し文句を使いました。
あれが自分はピンときませんでした。
日本のサーカスが清潔でスポーティーで明るいからです。
ずっと「なにいってんだろう? サーカスなんてぜんぜんこわくないのに」と不思議でしたが、大学生のころ『フリークス』を見て
「むかしの大人がいっていた『こわいサーカス』のイメージはこれか」
と納得しました。
虚構を愛するコアなホラーマニアの中には、本物の障害者を使ったこの映画を憎む人もいます。
その気持ちはよくわかりますが、自分はやっぱりこの映画が好きです。
自分のように『フリークス』を愛する人は世界中にいて、意外なところではピクサーのアニメ映画『トイ・ストーリー』がそうでした。
途中に出てくる壊れたおもちゃたち、ミュータント・トイというそうですが、描き方が完全にホラーで「おや?」と思いました。
あれは『フリークス』に出てきたサーカスの芸人たちのおもちゃ版です。
それを確信したのは最後のバトルシーンで、主役のおもちゃと敵が車の車体の下で格闘します。
「このシーン既視感があるぞ?」
と考え、すぐ
「これは『フリークス』のラストシーンだ」
と気がつきました。
豪雨の中馬車の下でフリークスと悪漢が泥まみれになって戦うシーンがクライマックスで、トイ・ストーリーはこれを意識したと思います。ただし
「トイ・ストーリーはフリークスにオマージュを捧げている」
と指摘しているのは、たぶん世界中で自分一人だけです(苦笑)。
『フリークス』の予告編動画のURLを下に張りました。
ぜひご覧ください。
Freaks (1932) Trailer
https://www.youtube.com/watch?v=vJVXTKkjsxA『アガルタのイオリ』第106話 カミの子たち
https://kakuyomu.jp/works/16818622176421206781/episodes/16818792439110763253