今回ブルックが裸で月光浴をする場面を書きました。
本当に月光浴という習慣があるのか知りませんが、この場面を書いていて自分の頭に流れた音楽はベートーベンの『月光』でした。
とてもロマンチックで、しかしどことなく緊張感を帯びた不穏な曲でもあります。
そこで思いつくのは星新一の『月の光』という有名なショートショートです。
富裕な医者はみなしごで混血の赤ん坊を引き取りペットとして育てる。
医者は赤ん坊に言葉を教えず、ただ愛情と食事だけ与える。
赤ん坊はやがて十五歳の美しい少女に育つ。
ある日医者は事故にあい入院する。
執事が少女に食事を持って行くが、医者以外の人間に懐かない少女は執事をおそれ、食事も食べない。
しばらくして医者が亡くなる。
執事が少女がいる庭へ行くと、少女は月の光を浴びながら息を引き取っていた……
たいへん悲しい話で、初めて読んだ中学生のころ読後しばらく呆然となったのを覚えています。
ロマンチックな話ですが、同時にただならぬ不穏さもあります。
おそらく星さんはやはりロマンチックな中にただならぬ不穏さをたたえたベートーベンの月光を聴いて、この話を思いついたのではないでしょうか。
下に張った動画で『月光』をお聴きになれます。
ぜひご一聴ください。
ベートーベン「月光」:高音質 Beethoven "Moonlight Sonata"
https://www.youtube.com/watch?v=rwxgZycctTg『アガルタのイオリ』第91話 騎士の誓い
https://kakuyomu.jp/works/16818622176421206781/episodes/16818792438732874130