根倉獺

『死にたい』と私に言った彼女。 私はその言葉に苛立ち、向き合おうとしなかった。

人生なにをやってもうまくいかない。そうぼやく老人嫌いの青年政次郎は、突如『又太郎』と呼び止められた。 徘徊老人らしき彼女は明らかに人違いをしており、親し気に過去の悲しい話を語りか…

地域に伝わる奇妙な伝承「迷い蛾」、止まられた者は別人になり変わるという。地元の古い伝承のはずが、通っている学校には「迷い蛾」にまつわる怪談が伝わっていた。 美術室に残っていた大…

怪文書を風化させない

「宇宙ってさ無限に広がってるんでしょ。宇宙空間が粘菌で、縮小していってるとしたら、最適解以外の空間は消えちゃうのかな」 放課後の教室。 ふと思いついた疑問を、ひねくれ者の友人、赤…

目を覚ますと、そこには大きな穴がぽっかりと空いていた。 欠けた一年間の記憶、不可解な状況の中、親友の結城悠馬が自殺した。 ――そんな中、僕は怪しい少女、玉井るりに出会った。 知…

生き別れの母の肖像画を修繕してほしいという資産家のエム氏からの依頼。 酷く顔が損傷したそれは復元不可能に思えた。 報酬に目がくらみ依頼を受けてしまった画家のワイ氏は、薄汚い老婆に…

人間クローンが当たり前になった近未来。 工場で製造されたクローンたちは、出荷され注文主の所有物として生きる。 生死不明の行方不明により死亡判定を受けた大槻翔太のクローンとして生…