おかげさまで「異世界でわかる文学史」の、第一回配本(つまり第一部)の完結までこぎつけることが出来ました。
そこでこの機会に、どうやって本作が生まれたのかをお話します。
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目次を見返してみると、初投稿は2025年7月22日となっている。十二万字の小説を投稿するのに一年二か月もかかってしまったのだ。
実をいうと、もっと時間がかかっている。執筆開始は初投稿の半年以上も前だし、構想が芽生えたのはさらに何年も前だ。
そもそものきっかけはコロナ禍でのロックダウンである。筆者は暇なので「文学全集」でも編纂してみようと思った。
作中で山田さんがやったのと同じだが、実際に作品を集めて実物を作ろうとまでは思ってなかった。
これは純然たる時間つぶしの一人遊びであり、リストを作ってそれで満足するはずだったのだ。
ところが作成したラインナップを眺めてニヤニヤしてるうちに、「これで終わらせるのは勿体ないな」と思ってしまった。
けっこうな労力を費やして作ったリストだ。世間に公開してもバチは当たらないんじゃないかと。
とはいえ“ぼくのかんがえたさいきょうの”リストを、ネットにあげてドヤるだけでは、ただの痛い奴だ。
どうしようかと考えてると、ちょうどネット小説を読み漁ってた時期でもあったので、異世界ものに組みこむことを思いついた。
ナーロッパの吟遊詩人に、女神から異世界の文学全集が授けられる。それを朗読していると、なぜか騒動が巻き起こる。
そんな構想で執筆を開始したのが2024年の年末である。ちょうど紀州のドン・ファン裁判で、元妻に無罪判決が下りた時期だ。
とりあえず切りのいいところまで書き溜めようと思ったので、それまで投稿は控えることにした。
しかし、文学全集第一巻「ゲーテ集」の朗読を始める場面に差し掛かったところ、パタリと筆が止まってしまった。
あ、言い忘れてたけど、筆者がロックダウン中に作ってたのは「世界文学全集」のリストだよ。
話の内容はこうだ。主人公が「若きウェルテルの悩み」を朗読したところ、影響を受けた若者のあいだで自殺ブームが起きる。
作品発表当時のヨーロッパで実際にあったことなんだが、これだと現実世界のエピソードをなぞってるに過ぎない。
それに、ナーロッパ世界にヨーロッパ文学を持ち込んでも、すんなり溶け込みすぎてしまう。異世界の文化感がまるでないのだ。
この調子で書き続けても、続かないという予感がしてきた。
執筆を辞めようかと思ったが、そうなると冒頭三話を破棄するのが惜しくなる。ここは我ながらよく書けてると思うからだ。
そこで忽然とひらめいたのが、使用する全集を「日本文学全集」に代えることだ。
試しにいくつかの全集の目次を調べたところ、「学問のすゝめ」のタイトルが目に入った。筆者の背中に電流が走った。
「はたして貴族社会で『天は人の上に人を作らず』は通用するのか?」という命題が頭に浮かんだのだ。
これはイケると思った。異文化感も申し分ない。ただし「世界文学全集」にそって作ったプロットはもう使えない。
そこで、大まかな物語の流れは生かしつつ、個々のエピソードは書きながら考えるという方針に転換した。
悠長に全集の編纂から始めていたら、時間がいくらあっても足りないからね。
そんな感じで「学問のすゝめ」「西洋事情」と書き進めていたら、またもや執筆がストップすることになった…… 【つづく】
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新作タイトルは「ドラゴンライダー慕情」と決まりました。資料集めが終わり、いよいよ執筆を開始するところです。
筆者がレビューを書いた二作「竜の召喚者」と「もう一つの地球『イザナミ』への転生」に多大な影響を受けた作品となっております。