• 異世界ファンタジー

第十一話 桜夜《さくや》を公開しました。

その夜は、散るときまでも定められた花が、
優しさにつつまれてそっと咲いた夜だった。

抱きしめることすらためらわれるほど儚い命が、
それでも誰かのために咲こうとするとき、
花は涙より静かに、光より確かに、魂《こころ》に刻まれる。

桜は知らぬまま、その命を終えた。
自分が残したものが、
ひとりの男の胸でいつまでも生き続けることを。

そして――
泣きながら目覚めたひとりの女が、
その願いを引き継ごうと心に誓うことを。

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