・言い忘れていた文フリの思い出
文フリ会場を彷徨っている時に、すれ違った女性がスマホを取り出した拍子に何かカードを落としました。
薄紫色をして、スペードのような形が象られたカード。多分、何かのグッズなんだろう。
せっかくイベントに来たのに、落とし物をしてしまうと嫌だよなと思い、拾って女性の肩を叩きました。
「あの、落としましたよ」
振り返る。柄付きのグレーのカットソーと、デニムショーパンは文フリに来るには、陽キャすぎる感じに見える。
「あっ! これ私のです。ありがとうございます!」
厚めな唇から、軽やかに感謝を告げられた。
ふー。良いことしたなあ。
……あっ。
こういう時に物語だったら恋が始まるんじゃないだろうか……←これだからコイツは。
「一緒に、文学の海に溺れませんか?」とか言っとくべきだった……←失格。
・@Ryuzy様。おかわりギフトありがとうございます(顔引きつり)
……前回の近況ノートで、冗談でギフトの数だけラーメン食うとか言ったせいで
10個ギフトを(ぶちこんで)頂きました。
ありがとうございます勘弁してください!←本音を出すな。
いやもう見た瞬間、冷や汗がでましたもん。ギフト貰った時の反応じゃないですもんちくせう(泣)。
まあでも、言ったからには考えました。1日10杯は流石に現実的じゃないので、2日に分けて食べて、その様子を近況ノートとかエッセイであげて、もうみんなにも楽しんでもらいましょう。
題して
「名古屋ラーメン11杯食べきれるまで帰れない歩き旅!」
(なぜ11杯かって? ギフト合計が11個だからさ……)
絶望に震えながら、とりあえずルールを考えました。
・ラーメン11杯食べきるまで家に帰れない。
・移動は徒歩。
・同じ区のラーメン重複なし(名古屋は16区)
・店及びラーメンの種類は毎回変える。
細かいことはまた考えますが、名古屋ラーメン旅をしながらヒイヒイ言っている姿を、楽しんでいただけると幸いです(涙目)
・読書感想文「イン・ザ・メガチャーチ」
メインのつもりだけど、これが一番おまけくさい構成になってしまった。
イン・ザ・メガチャーチ 著:朝井リョウ
本屋大賞2026で大賞に選ばれた小説です。文庫版はまだないですが、話題になってたので結局読み切りました。
結論から言うね←ChatGPTか。
面白かった。
けど。
僕はあまり好きじゃなかった!←!?
いやこれって矛盾してなくて、おもしろいという気持ちと、好きかどうかは別の問題だと僕は思っています。
ネタバレありのパートも含みますので、そこはご留意ください。まずはネタバレなしで。
この物語は、三人の登場人物の一人称視点で進みます。
四十代後半、要職につけず、社会人として斜陽であり、家族関係も良くない中年男性の久保田。
留学を目指しているが出来ず、繊細すぎて他者と上手くやれない久保田の娘、澄香。
推しに生活の全てを捧げる三十代派遣社員の絢子。
それぞれがそれぞれの立場で、推し活というテーマに直結し、それぞれの線が繋がっていくところが物語の面白みですね。
始めの50ページくらいはすごく苦痛でしたけど、絢子パートが終わってから途端に面白くなりました。物語が動き出したからです。
久保田は人生に疲れ、友達もなく出世の道も薄い。もう人生に楽しみなんて見つけられないような状況で、とあるプロジェクトに誘われます。
オーディションから成りあがった、男性アイドルたちのプロデュース戦略チームに抜擢されたのです。
その役割は、アイドルたちそれぞれの物語を、どう見せるかという戦略です。
アイドルという存在は、ただの商品ではない。一人一人が、志と夢を持った一人の人間である。ファンのみんなに寄り添い、生活に潤いと身近なぬくもりを与える存在。
そう信じ込むために必要なことは何か。
それこそが、物語です。
カクヨムでのキャッチフレーズ的な本の帯には、こう書いてあります。
「神がいないこの国で人を操るには、物語を使うのが一番いいんですよ」
綺麗ごとを言いつつ、本質はアイドルという商品でどれだけ動画をバズらせ、どれだけメンバーに心酔をさせ、どれだけグッズやライブを売りつけるのか。
そういった熱狂的なファン行動を取らせるために、物語の力を利用していくというのが、筋の一つです。
このことを読んだ時、「人類は衰退しました」のとあるシーンを思い出しました。
妖精さんたちが自分たちの国を作った時の、作るものリストの一つに「宗教」が入っていたことを。
そっか、宗教って発明だったんだ。
という私ちゃんの呟きに吹き出しそうになりました。
あとは、ユヴァル・ノア・ハラリ著の「サピエンス全史」ですね。
人が親密な関係性を築けるのって、せいぜい150人ほどらしいですが、じゃあ人類がどうして協力して社会を作り上げられたか。
その答えは宗教であり、物語なんです。
神が作った世界で、善行を積まないと地獄に堕ちるという共通の物語があったから、人はまとまり、社会や国という様式で生きて来られた。そのことを思い出しました。
いやほんと、久保田のやってきたことが、澄香の人生を狂わせることや、潤いを与えていくという構図が、ものすごく皮肉的で、読んでいてじんわりと喉元を締められていくような息苦しさはあります。
これでもかというほどに、一人称で気持ちを曝け出すタイプの文体なので、好みはあると思います。強調したいことをわかりやすいように繰り返す手法なので、気になる方と没入できる方に別れると思います。
僕は共感は全然できなかったので、外からの俯瞰的な視点で見ていました。
そして、「イン・ザ・メガチャーチ」の意味。
チャーチを教会以外の意味で考えられなくて、それは当たっていたんですが、この世はまるで巨大な教会の教義で操られているようだなんていう、最大限の皮肉的な表現なんでしょうね。
宗教も音楽もアイドルも物語も、人々を熱狂の渦に巻き込んで、潤いを与えながらも搾取をしていく。
今の世の中にとって本当に大切なものは何かということを切に問う、確かに今の時代に読むべき物語なんだと感じました。
△△△△以下多少ネタバレあり△△△△ 読む予定の方はここは避けてください
何が気に入らなかったかというと、この物語は限りなくバッドエンドに近い展開だからです。
久保田の正義的(個人的)な行動は社会的にどうなんだという。澄香の心は当然満たされることなく、作られた熱狂に踊らされている。
ただし、それを自覚した上で、ほんの一瞬だけ自分なりの救いで輝いているように見える。すぐに現実に押しつぶされるだろうけど。
ある意味では、一番救われたとすれば絢子なのかもしれない。
推していた俳優の自殺から、人生で大切なものを見失う。そして、その出来事は意図的に隠ぺいされたものだとして、警察や世界は陰謀によって支配されているという陰謀論に洗脳されたような状態になる。
アイドルの搾取から、真実を教えてくれる先生とやらからの搾取へ。その構造が移っただけ。
ただ、最後にはある意味ではやりきったという感覚に陥っているところは救いに至ったと言っていいのかもしれない。
まあ何が気に入らなかったのかと言うと、登場人物の誰しもが、自分の意思で生きているようで、何かに操られているかのように見えるところなんでしょうね。
何かの影響を受けていない人間なんていなくて、会社という成長ストーリーに。ライフステージという誰かが敷いたレールに。正義というイデアには最も近づきがたい理想に、誰しもが踊らされている。
きっと誰もが、信じているなんらかの物語があるはずだ。カクヨムで連載をして書籍化を目指すというのも、ある意味では信じているサクセスストーリーだ。
そのことを、自分で選んでいるような気がしない。というか薄い。自我が乏しく、愚かだ。
でもそれが、限りなく人間らしい。
そんな人としての弱さや、どうしようもなさみたいなところを、救うわけではなくただ因果応報的に着地させた。その点がただ単に、僕の主義と合わなかっただけの話なんだろう。
だから、この物語に思う最終結論は、面白かったけど好きじゃない。それはある意味では心に残っているから、そういった意味では優れた物語と言えるかもしれない。
どうせバカなら、踊らにゃそんそん。
まあ言ってしまえば、アイドルを推すというムーヴメントを作り出す側も、資本主義という宗教(毒強めな表現)に踊らされている側と言えなくもない。
生きていく上で閉塞感を感じている方。自分に自信がなく、他の誰かに救いを求めている方。この世の在り方に絶望している方なんかには、刺さるのかもしれない。
世界の視方について改めて考えさせられる物語であったと感じました。
△△△以上多少ネタバレあり△△△△
・本日のラーメン
巨大な厚切りチャーシューが乗った、道産子味噌ラーメンよ。この肉々しさがたまらないわ。いってらっしゃい。
