彼は生前、私を傷つける言葉ばかり投げつけた。だから死んだ今も、私は彼を恨み続けていた。
夜な夜な枕元に立ち、震える彼を眺めては溜飲を下げていたのに、絶対に安眠なんてさせないんだから。
ある日、彼が涙ながらに「ごめん」と呟いた。その声は震えていたが、確かに私を呼んでいた。
胸の奥に残った温もりが疼き、憎しみが少しずつ溶けていく。気づけば私は、ただ彼に触れたくて、ただ愛されたくて、幽霊になってもなお傍にいるのだと悟った。
あと1回、冬で終了。宣伝失礼いたしました。
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