【短編二本立て】 「じいちゃんはたぶん異世界転生？」 　現実世界で死んだら、きっと異世界へいくのだろう。 　そしてその異世界で死んだら、また別の異世界へ……、 　たとえば、…

　廃ビルの屋上から飛び降りた少女は、次の瞬間、大空へ飛び上がった。 　偶然、それを見てしまったジャーナリストの男は、『空吹』と刺繍されてある緑色のジャージを拾う。 　こうして、…

　十七歳の少女・空吹音羽は、住み慣れた地元が異世界になっていることを知る。 　大吹雪という視界不良の中、歩き慣れた地元の土地勘を頼りに、最寄りの駅を目指す。 　駅へ辿り着けば、…

　テロリストに攫われ、人質になった青年の横には、同じく捕まった少女。 　彼女は自分が認めた人にしか頭を下げず、従わない――当然ながらテロリストに従順でいられるわけもなく……、挑…

　人生に一度、あるかないかの異常事態（トラブル）。 　漫画の世界でしか見ることができなかったそれが、なぜか一気に押し寄せてきた。 　首が無くなり頭が落ちて、 　性転換して胸が膨…

　町を魔獣から守る『ガードマン』……、近年は人材不足に悩まされていた。 　昔は名誉ある仕事だったが、段々と危険性が明るみに出ていき……、今では低収入、長時間労働など、誰もやりた…

「良く言えば【優しい】だけだから」 「……悪く言ったら？」 「その質問に答える必要ある？　……みたいなことじゃない？」

　全世界の人間が記憶を持ち越すことができる『タイムループ』―― 　12月31日を繰り返す日々は、やがて人々から行動の制御盤を奪い始める。どうせ明日も今日を繰り返すなら……今日のこ…

　きっと、『誰も』悪くない。

　短編二本立て。 『でっど（オア）あらいぶ』 　… 　癌で倒れた父親にできることはもうなかった……心電図が死を察した。 「ご臨終です……？」 　死んだと思えば息を吹き返し、かと…

　恋人から急かされてるけど……、 　だけどおれはまだ、『持つべきもの』を持ってはいないんだ！

※過去、短編集のみに収録していた短編です。 ―― 　彼女は自分のことを『捕獲屋』だと言っていた。 　ネットで検索してみれば、出てきた…… 　怪しさ満点のオカルトじみたウェブサイ…

「他人から『ダサいヤツ』って思われても、別に実害ないし……」 「ふーん（これが『ある』んだよなあ……）」

「墓は家であり盾だ。それがなければ、幽霊としての寿命は短いだろうな」

「これは絶対に失敗できない任務だ……貴様ら、マジで頼むぞ！！」 「（じゃあ代打を立てるなよ……）」

　――　短編二本を収録　―― ＃1【新番組】 「どうしたら炎上を回避できる？」 「番組を、視聴者に作らせてみたら……どうだろう」 ＃2【取り締まり強化】 「このままだと…

　速度違反をした魔女を引き止めた国軍の男。 　彼は既に、魔女の『まほう』にかかっていた。

「手段は選ばない。 　欲しいものが目の前にあるんだ、正々堂々と戦っている時点で、その『欲しいもの』はルールを守った上で手に入れたい『その程度』のものなんだろうな」

　犯人は誰だ？ 　疑うなら全てを疑え。 　証言者も例外なく、証拠も映像もなにもかも。

…　短編二本立て　… 「人生最終トピックス」 　死ぬ前に点数を出すのは早計だ。 　死ぬ直前まで、人生の採点は続いている。 「炙り出しアブノーマル」 　この世の全員、【犯罪予備…

　刀の国。 　新たに就任したお姫様……その名は黒姫。 　彼女は他国から取り入れた新たな文化――科学技術を用いて、カメラを使った動画配信をおこなった。 　一発目の動画は、就任の挨…

「ぼったくり？　そもそも値段が付けられないサービスだろ」 「隣に座ってお喋りして……一緒にお酒を飲んでいるだけなのに？」 「『お前』と、『楽しく』飲めるなら―― 　他では代用で…

「あの主婦、怪しいな……」 　挙動不審な主婦が店の商品を隠し持っていった。 　会計をせずに店の外に出た時、彼女は万引き犯として連行する。 　……なのに。 「買い物、長いなぁ…

　提供された証拠映像があった。 　それはワンルームアパート内で起きた殺人事件。 　二十代の女性を、同じく二十代男性が刺殺する一部始終。 　監視カメラでも定点カメラでもない。 　…

※過去、短編集のみに収録していた短編です。 ―― 『！』を付けて送ったら、『！』を付けて返信をするべきじゃない？

　…KAC20231お題「本屋」… 　ここは本の国――、世界最大かつ世界唯一の大図書館がある。 　置かれている本は国の外に持ち出すことは不可。 　併設されたホテル、もしくは敷地…

「クラス委員長に、日頃の感謝を込めて――」

　…　KAC20232　お題「ぬいぐるみ」　… 　観光にやってきた少女が見たのは、あちこちに置かれたぬいぐるみだ。 　木彫りの置物や古い土器よりも多く、島を彩っている……、 　…

　…　KAC2023　お題「ぬいぐるみ」＃2　… 　世界最多数のぬいぐるみが集まる『ぬいぐるみ諸島』。 　中でも、最も過酷な環境と呼ばれている島へ訪れた男がいた。 　彼は妹の…

　…KAC2023お題「ぐちゃぐちゃ」… 　ある日、世界地図から一つの『村』が消えた。 　ただ、珍しいことではなかった。 　小人たちに目をつけられた村は、一度消えてから、別の場…

　…KAC2023お題「深夜の散歩で起きた出来事」… 　酒豪都市について。 　――どうしてお酒に強いことが条件なの？ 「だって、弱いと記憶を失うからね。飲まなくとも都市の空…

　…KAC2023お題「筋肉」… 『決闘の塔』でフラッグ戦の予定がある少女は、相手チームのあらゆる分野のトップランナーに対抗する人材を探すため、死者の森へ訪れた。 　……生者の…

　…KAC2023お題「アンラッキー７」… 　占い師から教えてもらった、自身のラッキーナンバー……『７』。 　ギャンブルの国で大金を得た少女は、ある青年と出会い、水の都へ向かっ…

　…　KAC2023お題「いいわけ」　… 　雲上庭園。 　そこは見る者を癒す、極上の光景が広がっている……はずだったのだが。 　久しぶりに顔を出した神様は、荒れ果てた庭園を見…

「いじめられた側は逐一、全てを覚えてる。 　お前がやったんだ、やったことに関しては、こっちがやり返したところで、お前に文句を言う筋合いはないはずだろう？　嫌ならやるな。でもやった…

　――エンタメの国。 　異種族が混合する、エンターテインメントに特化した国だ。 　その中の一つの業界、演芸の中の話芸、センターマイク一本で人を笑わせるお笑い芸人。 　その立ち芸…

「神様、どうかお願いします…… 　世界中のイケメンを、『恋愛をするとその自慢の顔が輝く』ようにしてください……！」 　恋愛をすればするほど、 　好意があればあるほど、イケメンの…

　…短編二本立て。 ・全員、お姫様。 「世間的には、古臭い考えらしいけどさ……女の子は大切にするものだよ。お姫様みたいにね。だってそういうものだから。そういうものだと教わって育…

　俺・花尾（はなお）楓（かえで）には妹がいる。 　花尾　風（ふう）。 　ボーイッシュな見た目で、だけど最近になって化粧を覚えたのか、おかげで色気が出て女性の魅力が一気に溢れ出てき…

　英雄の里。 　そこは、世界中で活躍する『英雄』を輩出する、大自然と一体化した『教育機関』である。 　今日もまた【卒業生】が生まれ、 　山を越えて『英雄の卵』が世界中に散らばっ…

　身分証を（見せない）守るだけでは足りない。 　個人情報を徹底して守るなら、顔を変え、名前を変え、変装前の自身の癖を全て消す必要がある。 　……それでもまだ足りない。 　疑う人…

　役（キャラクター）に入り込み過ぎる憑依型女優がいた―― 　彼女は今回も、『MOMO太郎』のおばあさんに憑依し……役になり切り過ぎたその女優は、おばあさんが置かれた状況に不満を…

　スマホから、通話とメッセージ機能が削除された。 　なぜなら世界中の人間が、『テレパシー』という特別な力を得たからだ。 　頭の中で思い浮かべただけで、相手に届き、意思疎通ができ…

「未来が見える」と自称する少女・星宮コスモ。 　しかし、彼女が見た未来は、絶対に実現されない……――つまり彼女が『未来を』『見ている』という証拠は一つもなくて―― 　にもかかわら…

「無人島に一つだけ持っていくとしたら、なにを持っていく？」 「それって道具じゃないとダメ？　人でもいいの？」 「構わないよ」 「じゃああの子――」 　… 「あの、選ばれた私に…

　寂れた商店街にあるカレー屋さん。 　そこにいる店主は、耳を疑うような商売をしていた。 「カレー、食べていくネ！？」 「いや、遠慮しておきます……」 「そっか……じゃあカレーの…

　泣いている子供を見つけた。 　迷子？怪我でもした？ 　助けてあげたいけれど……ちょっと躊躇う理由があった。 「今ここで声をかけたら―― 　泣いている男の子が『泣き出した理由』…

「昔、あれだけみんなは『あの子』のことを貶していたはずだけど……今更、『綺麗（美人）になったから手を擦って近づいて媚を売る』のは、最高にダサいじゃん」 「まさか、こうなることを…

「女子高生・連続殺害事件の犯人は、どういう人なんですか？」 「成績優秀で、学んだことをノートにまとめて、細かく整理し、日付ごとに並べている真面目な学生で――しかも警察官志望者で…

　無敵の化物、その名も『デビル』。 　どんな攻撃も通用しない敵だ。 　斬撃も打撃も呪術も魔法も、なにもかも。 　そんな敵を退治する唯一の方法は――『結界殺し』。 　問答無用で慈悲…

　ヤンキーの友人から渡された呪いのビデオ。 「最後まで見てくれ！！」と頼まれ、自宅に持ち帰った青年。 　約束通りに、どんなことがあってもビデオを停止させない彼は、かの有名な『テ…

　遅くまで残業がある。 　そんな嘘を家族に伝えて、一人で飲み歩いていた会社員は、帰り道の踏切で女子高生とすれ違う。 　深夜にもかかわらず、少し古臭いセーラー服の女子高生が、どう…

　煙突がない。 　しかし、窓がある……だけど鍵がかかっている。 　地面を掘って地下に潜る？ 　しかしこの家は、地面の下にも部屋がある。 　真っ白なこの家は、壁に爪を立てただけで…

　森の奥に、罠にかかった鶴がいました。 　そこを通りかかった若者が、苦しむ鶴を助けます。 　助けられた鶴は、その若者に恩返しをすることを胸に誓いました。 「恩返しなんてしなくて…

　若者が釣りをしに浜辺に向かうと、 　緑色の二足歩行の生物が、子供たちを足蹴にしていた。 「おい、おいおいおいおい！？　なにしてんだ！？」 「正当防衛だぞ。先に仕掛けてきたのは…

　魔法を使うと、その魔力の残滓が生命となり、赤ん坊となる―― 　デモンストレーションで使用した魔法の代償により、魔王城にいた魔族の全員が同じ呪いにかかってしまった。増え続ける赤…

「――ムカついた、電話をかけて一言、文句を言ってやるッッ！！」 『……ご用件が、配送のご依頼、でしたら手元のダイアルの１番を、ご質問、でしたら２番を、クレーム、でしたら３番を…

「わたしのスカートの中を見たんですから、赤面して取り乱してくださいよ！？　わたしだけ慌ててバカみたいじゃないですか！」 「事故だろ、わざとじゃない。それに、なんで俺がお前に合わ…

「食べ放題バイキング……、料理以上に、なによりも優先して並べるのは、このパーティで万人に通用する、間を埋めるための『話題』なんじゃないかな……」

「こらっ、隣の子とお喋りするんじゃありません！！」 「うわびっくりした……、え？　これ動画だよな？　撮影済みで、いつでもどこでも見られる授業の、はずだけど…………どうして今のぼ…

　死んで転生した二十代半ばの男は、異世界で「フートベル」として生きることになる。 　前世の記憶と常識、人生経験を利用し、王族として上手く立ち回るフートベルだったが……、 　十…

「稼げるバイトがあるんだが、やるか？」 「ヤバイ匂いがしますけど、そういう（違法）やつじゃないですよね？」 「ちゃんとしているやつだ、政府も一枚、噛んでいる――ただまあ、ちょっ…

　連日続く、しつこい嫌がらせの一環だと思えば、どうやら最近、わたしの後をつけてくるストーカーは『彼女』の嫌がらせではないらしい。 　ということは、本物のストーカー……？ 「あた…

　ゆっくりとだが、しかし確実に地上へ近づく、地下に埋まったダンジョン―― 　もしも、少しでも地上に突き出てしまえば。 　ダンジョン内で生まれた魔物たちが、地上の町を襲ってしまうだ…

　宮本みるくは美少女だ。 　誰もが認める容姿端麗、学業優秀、運動神経抜群――性格も良い（※表向き）。 　完璧な女神のような存在であった。 　そんな彼女は、密かに楽しんでいる遊び…

　自称・異星人の彼女ができた俺は、話題の映画を見るために大型ショッピングセンターにやってきている。昼食に足を運んだフードコートエリアでは、夏休み中の小学生がうるさく騒いでおり………

　神は恐れたのだ。 　圧倒的な才能を持つ者たちを。 　天才以上に天災である者たちを。 　だから与えた――ハンディキャップを。 　ごく普通の生活を送ることにも苦労をする体を。 　…

　暗殺者の少女・イリエとせつな。 　二人は戦場で磨き上げた殺しの実力を発揮し、『VRゾンビ館』からの脱出に挑むが……。 　しかし、二人の実力に、機械が追いついていなかった。 　…

再編集版の短編作品です

　人類の大多数が『前科持ち』になっている世界。 　持たないマイノリティに変な目が向けられている、異常が逆転している異様な社会――。 　罪状でマウントを取り出したら最悪だ。 　重…

「握り拳を作り、相手を殴れば自分も痛いだろ？　ネット上も、そうであるべきなんだ」 　…… 「ようするに。手軽に入力したその強い言葉を発信するなら、同じ痛みを事前に受けるべきだ。そ…

　双子だけど似ていないところの方が多い美人姉妹、ライラとレイラ。 　そんな二人のお気に入りである青年・シューイチ。 　魔女に目をつけられたシューイチは、次々と要求される自分の素…

　勇者と魔王軍の戦いが続いていた。 　勇者の一人、コードネーム・茜色は、ある任務を言い渡される。 　 　魔王城に潜入し、魔王の暗殺をせよ―― 　各地へ飛んだ隊長格の魔族を一人ず…

　異世界召喚した『人間』は異世界人の手で首輪を付けられる。 　人間は、異世界では『ディアモン』と呼ばれていた―――― 　異世界召喚された「とある青年」も、例によって首輪を付けら…

　800字程度の掌編小説になります。4作品収録。

〇掌編、6作を収録 １：付き合う前の十日間が、最も輝いているんじゃない？…【高説】 ２：風鈴が集まれば、セミの騒音も越えてしまう？…【推測】 ３：昔のテレビは叩けば直る――じゃ…

　十年前、魔王が滅ぼされ、世界は平和になったと思われたが……。 　――とある町に勇者がやってくる。 　勇者は、ある人物を探していると言った。 「魔王の娘が、この町に潜んでいる」…

「考えることはみな同じか」 　黒服が言った。彼は大量の申請書類に目を通し、 「九割の男性が希望した女性は……彗星寺ソラだ」 　トップを突き抜けた国民的アイドル・彗星寺ソラ。 …

　脳みそまで筋肉の、鍛え上げられた肉体を持つ褐色の少女。 　彼女は多くの肌を露出させた、この場に似つかわしくない格好で議会に出席している―― 　周りの大人は常識的な格好をしている…

「伝説の樹の下に呼び出された段階で、内容がどういうもなのか分かっちまうよな――」 　だから、その場所に向かう気があった段階で、脈はありってところだろ。 　呼び出した相手が分からな…

　良い子にしていないとサンタは来ないと言うけれど。 　考えてみれば――『来る／来ない』ではなく『行く／行かない』なのでは？

　自分も含め、他人や魔獣、建造物や道具を対象に、全ての情報を閲覧することができる先天的な特殊能力――『ステータス・オープン』。 　幼少の頃から使えるこの能力で、一人の男は上手く立…

「当ててあげるよ――意地でもね」

「私から言えることは一つね。暇を潰すにせよ、会話の取っ掛かりにせよ、半端な覚悟で、冗談半分でする質問ではないことは確かよ。 　真剣な人は真面目に考えてくれる――考えてしまう。そん…

　行く先々で事件に巻き込まれる名探偵は、たとえそれが過去の肩書きであっても関係ない。 　肩書きを捨て、看板を下ろしても、トリックを暴いた事実は消えない……。 　邪魔をされ、捕まっ…

　それは、意に沿わない、搦め手だった。 　……他、掌編二作も収録。

　あたしが断ったせいで、近所の可愛い、妹同然の幼馴染にしわ寄せがいってしまった。 　まだ小学生のあの子は、魔法少女として、『この世の敵』と戦わせられている……。 　――あたしのせ…

　既にボロボロの体の博士は、自身が死ぬ前にたくさんの死者を出す実験を決行した。 　もう、怖いものはない。だってもうすぐ死ぬのだから。 　罰を受ける体も時間もなければ、どんな罪も―…

「どうしてあたしが怒ってるのか、分かる？」 「……お前それ、答え合わせできるの？」 　…他、掌編「七夕だから牡丹餅」も収録

　川で洗濯中、大きな桃が流れてくるのを見た『彼女』は、桃を追いかけ、飛びつき、桃を確保したが……、しかし陸に上がれなくなった。 　そのまま流され、気づけば彼女は、鬼ヶ島ではない無…

　空き教室。 　滅多に人がこない場所は、隠れてゲームをするのにちょうどいい……しかし、誰もこないということは、誰にも見られたくないことをしようとする生徒にとっては、すぐに思いつく…

　とあるカップルが喫茶店で食事をしていた。 　女性が綺麗な海の景色を見ていると……、小さく映った波に乗るイカダ――。 　だけど見えたそれは一瞬で、イカダはあっという間に消えてしま…

　通常よりも十分の一の価格で提供される肉があるらしい。 　噂の焼肉屋に訪れた大学生二人は、メニュー表を見て噂が真実だったことを知る。 　頼むのは肉、肉、肉……、肉だけだ。 　サイ…

　毎日毎日、朝早くから夜遅くまで、足が棒になるほど働いて、ストレスを溜めて……――だけど頑張った分だけ、貰えるものがある。 　それが『毒抜きチケット』。合わせて貰える『文字数』。…