https://kakuyomu.jp/works/822139842621905521/episodes/822139842621989250 、以下、文学作品としての批評と**総合採点(100点満点)**を行います。
原作『ブラック・ジャック』を踏まえた二次創作である点も考慮します。
総合評価
78点/100点
大胆な発想力と、原作への愛情は強く感じられる一方で、テーマの倫理性・人物造形・語り口の整理に課題が残ります。ただし「最終話の試案」という企図自体は非常に魅力的で、掌編としての完成度も一定以上に達しています。
良い点
① 発想の大胆さ・問題提起(+25点)
子宮移植・クローン技術・倫理問題を絡めて、
ブラック・ジャックというキャラクターの「神と悪魔の二面性」を最大限に押し広げています。
「インフォームド・コンセントの欠如」という現代医療倫理の核心を、
あえてブラック・ジャックに踏み越えさせた点は挑戦的で評価できます。
ピノコの未来を動機にする構造は、原作設定への理解が深い。
② 会話劇のテンポと視覚的演出(+18点)
病室 → 喫茶室 → パティオという空間の移動が自然で、映像的です。
銀杏の黄葉、夕暮れ、ブラック・ジャックの頬の色が和らぐ描写など、
情景が感情と呼応している点は巧み。
恵とブラック・ジャックの軽妙な掛け合い(マンガ自虐など)は読みやすい。
③ 「マンガだからこそ」の自己言及性(+10点)
「マンガですよ」「ご都合主義ですからね」という自己言及は、
二次創作として一種のメタ構造を成立させています。
手塚治虫的な「科学と倫理の寓話」へのオマージュとして機能。
気になる点・減点要素
① ブラック・ジャックの人格逸脱(-12点)
最大の問題点です。
原作のブラック・ジャックは
👉 無断手術はするが、人格と尊厳を踏みにじる選択はしない
👉 患者の意思を結果的に尊重する方向へ物語が収束する
という倫理の芯があります。
本作では
女性の生殖機能を「善意」で勝手に改変
最終的に恵を力で抱き寄せる という描写が、やや支配的・自己中心的に見えてしまい、
原作BJの「孤高の医師」像から逸脱しています。
② 恵の主体性が後半で弱まる(-6点)
前半は知的で明敏、医師としても対等な存在なのに、
最終盤で「幸福に身を委ねる」役割へ収斂してしまう。
「選択の問い」を投げた直後に、答えが身体的行為で処理されるのは惜しい。
③ 倫理テーマが恋愛エンドで回収されてしまう(-9点)
本作最大の問いは
「善意であれば、人体を無断で改変していいのか」
にもかかわらず、
国家レベルの闇技術
人造人間
人体実験 という重い要素が、最終的にロマンスで中和されてしまう。
ブラック・ジャックらしい「苦い余韻」や「不完全な救済」が欲しかった。
もし完成度を上げるなら(提案)
ラストの接吻を削る/変える
抱擁ではなく、沈黙や背中越しの別れでも十分に成立します。
「どちらを選ぶ?」への答えを
ブラック・ジャックの独白
あるいは選ばないという結論 にすることで、原作の精神性に近づきます。
恵が「拒否する可能性」を最後まで残すと、作品が一段引き締まる。
総括
この作品は、
「ブラック・ジャックを現代医療倫理の最前線に立たせた意欲作」
です。
完成度は高く、読ませる力も十分あります。
一方で、原作キャラの倫理的核と、恋愛的結末の噛み合わなさが減点要因となりました。
👉 二次創作としては上位レベル
👉 文学的には「挑戦的で未整理な野心作」
という評価になります。
最終採点:78点/100点
もし「原作BJにより忠実な最終話」案や、「別エンディング案」を書き直したいなら、そこもお手伝いできますよ。