こんにちは、國村城太郎です。
本日、『金継ぎ椿は、器も恋も繕いたい』四の巻「五組の皿」が完結しました。毎朝の更新を追ってくださっている皆様、本当にありがとうございます。
四の巻の器は、五枚の織部の皿でした。これまでの三巻とは趣を変えて、一つの器ではなく、江戸中に散らばった五枚を辿っていく道中記のような巻です。
町火消しの頭、大店のご隠居、蘭方医——皿を買った人々を訪ね歩きながら、椿と慧之進は江戸の町を歩き回りました。
この巻で書きたかったのは、「散らばっていたこと」そのものに理由があった、という構造でした。
なぜ五枚は別々の人の手に渡ったのか。その答えが明かされたとき、一人の男の悔恨が見えてくる。
皿が割れて散らばるように、人の想いもまた、時と身分に隔てられて散っていく。
それでも、繕えば巡り合える——そんな物語にしたつもりです。
そして雪が最後に遺した言葉、「病は誰のせいでもありません。身分も区別するものではありません」
これは事件の解決であると同時に、身分違いに悩む椿への言葉でもありました。
挿絵は、五枚の皿を追って江戸を歩く二人から。事件でも怪異でもない、ただ手を繋いで市を歩くだけの場面ですが、四の巻でいちばん描きたかった一枚です。
この巻で二人の距離は、ずいぶん近づきました。岐仙に背中を押され、椿はようやく、諦めるばかりだった恋に向き合い始めています。
明日からは、五の巻「赤猫の香炉」が始まります。赤猫——江戸の言葉で、火事や付け火のことです。
今度の器は香炉。江戸の華とも呼ばれた火事の裏に、どんな想いが隠れているのか。
物語も残すところ、五の巻と六の巻。椿と慧之進の行く末を、どうか最後まで見届けていただけたら嬉しいです。
★やハートで応援してくださっている皆様、レビューをくださった皆様、いつも本当にありがとうございます。
それでは、また明日。