『一口ミステリーシリーズ』(
https://kakuyomu.jp/works/16818622174238705156)の「その27」にするつもりでしたが没にしたエピソードをここで公開します。
近頃、近況ノートが没案置き場みたいになってきていますが……本編中に語るのもどうかと……お暇な方だけお付き合いください。
その27 ストーカー(没)
「私は自分の身を自分で守っただけです」
取調室で女子高生は戸惑うことなくそう答えた。
「しかし、君のしたことは――」
刑事が困った顔をしてそう言った。
「じゃあ、どうすれば良かったんです? 誰も助けてくれないあの状況で!」
彼女は強くそう言った。
それから、彼女は話し出した。
彼女には自室が与えられていたが、実際には常に監視されていた。
彼女が自室で何度もくしゃみをすると、母親が大丈夫かと聞いてくる。
トイレに行った回数までカウントされていて、それが多いと聞いてくる。
捨てたゴミの内容まで確認して、これは何かと聞いてくる。
父親は仕事が忙しいと言って、そんな様子を黙認していた。
「何から何まで母の言いなりで、やりたいことは何一つできませんでした。母が気に入らない私の物は勝手に捨てられました。私には、自由なんてなかったんです。それが嫌で嫌で堪らなかった……」
彼は同情の視線を向けた。ただでさえ感受性豊かな思春期の子どもにこの干渉は異常だ。自分と子どもの違いが分かっていない。まるで自分の所有物のような扱いだ。
彼女は実家から少し離れた大学なら独り暮らしが認められるだろうと、少し離れた場所の大学を受験することに決めた。
しかし、それすら認められなかった。
そこなら自宅からも通えるだろうと、片道二時間はかかる通学を勧めてきた。
「今の大学生って、大学や学部によっては昔みたいに楽じゃないんです。特に私の受ける大学は忙しいみたいで……それなのに、往復で最低四時間は正気とは思えませんでした」
彼は顔をしかめた。本来ならこれ以上同情すべきではないが、どちらが「加害者」なのかもう分からなかった。
「あの……最寄りの警察には相談は……?」
答えの予想が付いたが聞かずにはいられなかった。
「そんなの、とっくにしましたよ! でも、民事不介入でどうにもできないって!」
彼女は抑えきれなくなったのか怒鳴った。
「私はあの……家庭内ストーカーから自分を守るために殺すしかなかったんです!」
以上ですが、没になった理由はおそらくは分かると思います。
とにかく、オチが弱い! 意外性が全くない! ……これに尽きます。母親の手から逃れるために父親の方を殺した展開にすることも考えましたが、それも微妙です。
まだ、「その27 命の重さ」(
https://kakuyomu.jp/works/16818622174238705156/episodes/16818622177158231693)の方がこれよりは意外性があるかと……正直、これでも弱い気がしますが。
ここ数話、自分でも「弱い」と考える展開が続いていますし、そろそろ完結にすることも考えないといけませんね。
出したい公募もあるので、それの制作のためも兼ねて近々終了するかもしれません。あしからず。