掌編ホラー集『400字ホラーシリーズ』(
https://kakuyomu.jp/works/822139841011342479)の没エピソードを公開します。
直前までこのまま公開予定でしたが、それより良さそうなアイデアが思い付きましたので……。
あくまで「没」なので、お暇な方だけお読みください。
その19 所有欲(没)
俺はただ、自分のものが欲しかっただけだ。
それなのに、彼女は離れていった。
「あなたみたいな所有欲が強い人とは、もう付き合えない!」
何が悪いのだ……欲しいと願うのが!
俺の実家は田舎の方で、子どもの人権なんてなかった。
親が物を勝手に捨てたり、処分したりするのが当たり前だった。
怒ると、逆に叱られた。親は「片付けてやったのだから、感謝しろ!」平然とそう言い放った。
だから、ずっと独り暮らしがしたかった。安心して、自分だけのものを手にしたかった。
俺は理由を付けて家からは通えない遠くの大学に入学すると、現地で就職して帰らなかった。
自分だけのものが、二度と奪われない環境で居たかった。
それだけだったのに……俺はただ、自分だけの彼女で居てほしかっただけなのに。
思えばここに越してきてから、その思いが強くなった気がする。
「なあ……お前は、ずっと居てくれるよな?」
俺は背後で揺れる、二メートルはあるかと思う影に呟いた。
以上ですが、差し替えた「その19」と読み比べていただければ分かると思います。
オチが弱い……この一言に尽きます。所有欲が強くなったのはその部屋の霊のせい……ですが、最後の一言も唐突に感じられるかもしれません。
カクヨムコンテスト11【短編】は10,000文字までなので、今後もより良いエピソードを思い付いたら差し替えるつもりです。
実は、没エピソードはもう一つあるのですが……。