普段過去の事を思い出したり、懐かしんだりする事は無い自分でも、それでも染み付いた感覚と云う物は、何かの拍子に出てしまうものらしい。
誰かにとっての三連休は、別の誰かにとっての修羅場。
私こと色町アゲハはその時修羅場の真っただ中。ああ、もう、やってもやっても終わらない。虚ろな目付きで、パニック映画のゾンビーみたいにただ目の前の仕事を捌く私。
ええ、次は上の階? ハイハイ、直ちに向かいますよッと。と、少し先のエレベーターは今にも閉じようとして。
「あ、待って、入ります! 入りま~す!」
思わず普段上げない声を張り上げて、嗚呼、余程その時テンパっていたのでしょうね。意識もせず不意に頭を過るいつぞやのフレーズが……。
”入り、入りフレ、入りホ~(ハッハァ⤴!)。入り入りフレ、ホッホ~⤴!”
大きくなれよぉ~、って違う。閉じ掛けた扉を搔い潜り、エレベーターの中に駆け込む。ふう、と一息ついた所、妙な雰囲気と視線を感じ、周りを見れば、何故か自分に集中する周囲の視線。
……もしかして、声に出ちゃってました?
微妙な空気の漂う中、その内の一人と目が合って。思わず力強くニカッと笑って、”ウム!”と頷く私。
一転して笑いの渦に包まれる。
違うんだって、笑わせようとした訳じゃないっての! こっちはこれで忙しくて頭おかしくなってるだけだっての!
この色町アゲハ、己に恥じる事など一切無し!
……ゴメンナサイ、嘘つきました。ホントは山ほどあるけど、でも、ここで変に照れたりしたら負けかなって、そう思っただけなんです。
ああ、もう、こっちは至って真面目だってのに……。
なん⤴で⤵、こうなる⤴の!