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誤報の神様 について

あとがき

『誤報の神様』を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この作品は、 「世界が壊れている」のではなく、 “自分へ流れ込む情報”が壊れていく恐怖を描いた物語です。

主人公・ユウは、 超能力者ではありません。

現実を爆破したわけでも、 社会へ復讐できたわけでもない。

ただ、 孤独な状態で、 孤独を強化する情報ばかり見続けてしまった。

その結果、 “世界そのものが壊れているように見えた”。

それだけです。

ですが現代では、 それが案外フィクションではないのかもしれません。

SNS。

おすすめ欄。

まとめサイト。

ショート動画。

検索履歴。

アルゴリズムは、 人間の「長く見てしまう感情」を学習します。

そして、 怒り、不安、嫉妬、孤独、憎悪は、 非常に“見続けやすい”。

だから気づかないうちに、 自分専用の世界が形成されていく。

ユウが見ていた“爆発だらけの世界”は、 現実ではなく、 彼専用に最適化された情報空間でした。

しかし、 本人からするとそれは、 確かに“世界”なんです。

毎日見ているもの。

毎日触れているもの。

毎日感情が動くもの。

人間は、 それを現実だと思ってしまう。

だからこの作品では、 最後まで本物の超能力は出しませんでした。

でも、 読んでいる途中、 「もしかして本当に能力があるのでは?」 と感じる構造にはしています。

それは、 ユウ自身がそう信じたかったからです。

そして読者もまた、 ユウの視界に閉じ込められていく。

この作品は、 “孤独な視界への没入”そのものを体験してもらう構造でした。


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作品解説(ネタバレ全開)

■タイトル『誤報の神様』について

“誤報”とは、 この作品における爆発事故だけではありません。

ユウ自身の認識もまた、 巨大な誤報でした。

「世界は壊れている」 「みんな不幸だ」 「努力しても無駄だ」 「自分だけが真実に気づいている」

それら全部が、 孤独とアルゴリズムが生んだ“認識の誤報”です。

そして“神様”とは、 実際に世界を支配する存在ではなく、 “そう思い込みたかった人間”。

ユウは神ではなく、 誰にも見つけてもらえなかった孤独な青年でした。


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■なぜ爆発は“存在しているように見えた”のか

作中の爆発は、 完全な嘘ではありません。

正確には、 “情報空間では本当に存在していた”。

SNS。

掲示板。

切り抜き動画。

まとめサイト。

拡散。

ネタ化。

考察。

それらが循環し続けることで、 実在しない事件が、 あたかも巨大事件のように増幅されていきます。

これは現実でも起きます。

デマ。

陰謀論。

炎上。

ネットリンチ。

「みんな言ってる」が、 現実を侵食する。

ユウは、 その中心に偶然立ってしまっただけでした。


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■“爆神”の正体

途中から、 爆神はユウ個人ではなくなります。

掲示板住民全体の感情。

社会への怨み。

承認欲求。

孤独。

それらが混ざり合った、 集合的匿名存在になっていく。

だから第25話で、 「俺が消えても爆神は続く」 という恐怖へ繋がります。

匿名とは、 自由である一方、 “存在していないこと”でもある。

これはネット社会における、 かなり重要なテーマとして入れています。


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■ラストの検索履歴

> 「寂しい 治し方」



この検索だけは、 作中で唯一、 ユウが“世界を呪っていない言葉”です。

爆発しろ。

消えろ。

壊れろ。

そういう攻撃ではなく、 初めて“助かりたい”という方向へ向いた。

だからこの検索履歴は、 この作品で最も人間らしい一文になっています。

そして同時に、 最も遅かった一文でもあります。


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■この物語で一番怖い部分

爆発ではありません。

能力でもありません。

一番怖いのは、 ユウが特別な怪物ではないことです。

誰でも、 孤独になる。

誰でも、 閉じた情報環境へ沈む。

誰でも、 “自分専用の世界”を現実だと思い始める。

そして現代は、 それを加速させる仕組みが、 あまりにも多い。

だからこの作品は、 ホラーというより、 現代型の静かな認識崩壊小説として書いています。

ユウは最後まで、 本当の意味では“悪人”になりきれませんでした。

だからこそ、 最後の検索履歴が、 少しだけ苦しいものになっています。

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