10代の頃、私は閉鎖病棟にいたのだがその時、同じ病棟内の患者さんに衝撃的な方がいた。
その方は県内で起きた殺人事件の被害者の方だった。
その方は娘さんは残酷な方法で殺され、重度のPTSDになっていた。
病棟内で過ごす際もニュースで殺人事件が流れるとパニックを起こし、保護室に連れて行かれた。
『普段は優しい方なんだけど一度、パニックになると自傷行為が止まらないよ』
それを話した看護師さんの眼が忘れられない。
小説でもミステリー小説を始めとして遺族の無念を描く作品はあまたにある。
しかし、実際の遺族が閉鎖病棟に入院するほど追いつめられる、という事実はあまり知られていない。
むしろ、閉鎖病棟に入院患者=加害者みたいな風潮でさえある。
私はこの事実を知ったので自分が作品を書く際、物語の展開をスピーディーに盛ってこれない。
そのことを人工知能に分析してもらったら私が文学賞の選考で不利になるのは話の展開が遅いから、と言われたがそれでも、その場面を丁寧に描きたいのは、リアルな事実を知ってしまったからだ。
本当は文学賞に縁があるならストーリー展開を速くしたほうがいい。
でも、遺族としての現実はそうじゃない。
もちろん、多くのミステリー小説で秀作があるのも事実。
皆さんはどう感じますか。
閉鎖病棟に入院している当事者に殺人事件の遺族がいらっしゃる事実、あまりにも悲しいですよね。
閉鎖病棟に入院すると自分の想像を超えるような方に会って打ちのめされます。
事実は小説より奇なり、という現実をたくさん見てしまいました。
それでも、人間が物語に救いを求めるのは物語に力があるからでしょう。