今回で、テーマの「ヤングケアラー」が大分見えてきました。
梨花さんの状況が分かってくるほど、読んでいて本当に苦しくなってきました。作者としても、誰かを不幸にするのが好きなわけではないので、正直「つらい〜」と思いながら書いています。
お母さんも、子どもを大切にしたい気持ちはあるのに、毎日すり減っていってしまう。
短編の「ゆかり母」とはまた違う種類のしんどさがあるな…と感じています。
どうか、ハッピーエンドを信じて読み進めてもらえたら嬉しいです。
最近、ヤングケアラーの話題ってテレビでも取り上げられて、炎上もありましたよね。
今回は万引きも絡めていますが、犯罪って「悪意だけ」で起きるものばかりじゃないと思っています。
だからこそ裁判には、事情をくみ取るための“情状”という考え方があります。
注) でも、悪いことを肯定するわけではありません
イラストは梨花さんです。
Xで拾ったプロンプトを参考に、学校と少し荒れた室内を背景にしてみました。
以下、情状について知ってることを書くので本編には関係ありませんので飛ばしてください。
昔、刑法には 尊属殺重罰規定(旧・刑法200条) というのがありました。
これは 直系尊属(父母・祖父母など) を殺した場合、原則として 死刑または無期懲役 しか選べない、というとても重い規定でした。
風潮としても「育てた親を◯すなんて言語道断!」という空気が強かったと思います。
そんな中、有名な事件があります。
ある女性が父親を殺◯し、自首します。
長年にわたり父親から支配され、生活のすべてを奪われ、5人の子供が生まれます。結婚などで父親の元から離れようとしたことをきっかけに、父親に10日ほどにわたる脅迫や暴行を受け、監禁され子供を◯すと言われました。
極限状態の中で「このままでは逃げられない」と追い詰められ、犯行に至り、犯行後に自首した、という流れです。
しかし当時の旧・刑法200条だと、どれだけ事情が重くても 刑が極端に重くなりやすく、執行猶予も付けられないような仕組みになっていました。
「やっと父親から逃れたのに、今度は人生の大半を刑務所で過ごすしかないのか」という矛盾が、強く問題視されました。男性とも子供にも会えない状況に同情が集まります。
そして最終的に、最高裁大法廷はこの尊属殺重罰規定について、憲法の平等原則に反して無効だと判断しました。
この判断によって、尊属殺だけを一律に重くするやり方は否定され、結論としては通常の殺人の枠組みで情状が評価され、判決もそれに沿った形になりました。
(その後、この規定は改正で削除されています。)
判決は2年で執行猶予3年なので実刑は免れました。
ちなみに弁護士は、バッグいっぱいのジャガイモの報酬だったとか。
犯罪を起こさせないためには、罰だけじゃなくて、そもそも追い詰められない環境を整えることも大事だと思います。
今回の章も、「悪い/悪くない」だけで切れない部分を、ちゃんと見てほしくて書きました。
長々失礼しました。