今回は、リディアを温かく迎え入れてくれた人、スミス男爵夫人ロサリンデを紹介します。
■ ロサリンデとは
スミス男爵家の夫人。年齢は五十歳ほど、身長は百六十センチほどの、おっとりとした女性です。
男爵領にやってきたリディアを、まるで我が子のように迎え入れ、屋敷での暮らしを支えてくれます。物語の中では数少ない、ほっと息のつける居場所そのものです。
■ 見た目と雰囲気
上品で穏やかな空気をまとった女性です。きちんとまとめた髪に、控えめで品の良い装い。派手な飾りは好まず、落ち着いた色の服を大切に長く着るタイプです。
優しく包み込むような眼差しで向き合う人を、自然と安心させてくれます。
■ 性格
とても温かく、優しい心の持ち主です。使用人にも町の人にも分け隔てなく、その人そのものを見ようとします。
――人の気持ちは、見た目じゃなくて。その人の言葉や行いで、分かるものよ。
倹約家で、無駄を嫌い、工夫して暮らしを豊かにする。その生き方が、この一言に表れています。
■ 趣味と「着せ替え」
何よりの楽しみは、裁縫と庭いじりです。花を育て、針を握れば世界に一着だけの服を仕立ててしまう。手を動かして暮らしを彩るのが、彼女の生きがいです。
そして、その情熱はリディアにも向きます。エプロンドレスに、お茶会ドレス。今日はこれ、明日はあれと、毎日のように着せ替えして楽しむ。困りつつも、まんざらでもないリディア。屋敷のささやかな名物です。
■ 料理と、リディアとの関わり
リディアに料理を教えてくれる人でもあります。焼きたてのパン、溶けるバターの香り、温かい食卓。王城では知らなかったその温もりに、リディアは初めて触れます。
台所に並んで立つ時間は、リディアにとって、人生で初めての「個人的な喜び」になっていきます。
そんな彼女は、屋敷のれっきとしたコメディ担当でもあります。痩せの偏屈な老魔術師ベガをつかまえては、「もっとお食べなさいな」と肉を盛りつけて困らせるのも、いつもの光景です。
■ 意外な一面
穏やかなだけの人ではありません。
ロサリンデは、実は身体強化の使い手。あの剣士シェリーに手ほどきをしたのは、ほかでもない彼女です。
領地に盗賊が攻めてきた時には、悲鳴を上げるどころか、手近なレンガを投げつけて追い返してしまったとか。
おっとりした夫人と、いざという時の頼もしさ。そのちぐはぐさが、彼女の隠れた魅力です。
■ 夫を想う気持ち
ロサリンデを語るうえで欠かせないのが、夫への想いです。家族のために頑張り続ける男爵を、誰よりも尊敬し、これからもそばで支えたいと願っています。
困ったことに、夫の話になるとつい惚気てしまうのが玉に瑕。けれどその惚気こそ、この夫婦の仲の良さの証です。
■ 物語の中での役割
リディアにとって、安心して帰れる場所そのものです。戦いや駆け引きの絶えないこの物語で、彼女のいる屋敷は束の間の温もりを灯してくれます。
おいしいごはん、あたたかい服、分け隔てのない笑顔。その何気ない日々が、リディアの戦う理由を静かに思い出させてくれるのです。
■ 最後に
ロサリンデは、強さで物語を引っ張る人ではありません。けれど、誰かを想い支える優しさと、いざという時の芯の強さを持っています。
彼女のような人がいてくれるから、リディアはまた前を向ける。ロサリンデが灯す温もりを、どうか感じ取っていただけたら嬉しいです。
これからも『ルクセリアの大法官 ― 滅びゆく王国を、法で救う ―』をよろしくお願いいたします。