「んー、もう夜か」
外に出ると、すでに日は沈んでいた。
というか通りの公園の時計を見たが、すでに10時を回っていた。
ダンジョンが出現して以降、東京は日本政府の直接の統治が失われた。
その経緯を説明するのは非常にめんどくさいため割愛するが、もろもろあって東京の治安はゲロほど悪化したのである。
どのくらいかって言われたら、アメリカのロサンゼルスよりもはるかに治安が悪いって言えば伝わるだろうか。
夜の街にはマフィアと呼ばれる犯罪組織が闊歩している。
夜道で女性が一人で歩けば、すぐに襲われる。
だから、こうして夜の道を歩くのはあまり好ましくない。
さっさと近場のネカフェかどこかに逃げ込むことにするべきだ。
俺は誰にも絡まれない事を心の中で祈りつつ、さっさと早足で歩いた。
出来るだけ誰にも目を合わせずテクテクと歩いていると、ふと街中でキャンプファイヤーをしている人間たちがいることに気づいた。
はあ?
あいつら何やってんだ。
なんで街中でキャンプファイヤーなんてやってんだよ。
ん?
あれって、どっかで聞いたことがある気がする。
確かマフィア文化で対抗する人間を、キャンプファイヤーの上で焼き殺すなんてものがあったっけ。
そして、ちゃんとこんがり焼けたら仲間でその肉を食べるだとか……。
いや、草。
野蛮すぎだろ。
てかマジでやってんのかよ。
初めて見たんだが。
なんか火の上で人間がもぞもぞ動いてるんだが。
グロすぎだろ。
あ、やべ。
なんか人間焼いてるヤツと目が合ったかもしれん。
不味い。
ギャングと目を合わせてしまった。
「よお、ガキ。中々に可愛い面してるじゃねえか」