酒部朔日

死んだらどこに行ってどうなるのかを知らないでいた。 （縦読み推奨です）

詩です。

小樽の街に、されこうべが薄い呪いを撒き散らす。

朽ちかけた人形の愛憎。何度も生まれ変わる呪われた双子の顛末。 暖かさは全てあなたから知った。

その男は人間の形から流線型の棺に形を変えた。 月のサーモグラフィに捕捉されずに目的を遂げる。 完璧な仕事だった。

海の少年、陸の少女、人間が造る天使を穿つ槍。 気が遠くなるような時間を掛けてわたしたちは滅び、産まれる。

世界は欠けていた。人間型や自然型の歯車でそれを埋めている。 人間型の女は白い蛇を愛した。

鬱の青年のうだる夏の一日。死神の鎌のように、振るう柄杓。 果たして冷えたものは。

暗い階段を昇って母は、おひなさまにお供えをする。 一年中、毎日。

妻を亡くした男の妖精譚＋怪談。 妻は相変わらずつまらなさそうな顔をしている。 震える位牌、尖った蝶、消えない身体の模様。