風のあとに、祈りを
二つの台風が
立て続けに島々を揺らした。
まだ前の傷跡が乾かぬうちに、
また新しい風が吹きつける。
電気の灯りが消えた夜、
懐中電灯の光に浮かぶ人の影。
誰かの「大丈夫?」という声が、
何よりのあかりになる。
八丈の風も、青ヶ島の海も、
本当はもう静かに眠りたがっている。
それでも、人は立ち上がる。
壊れた屋根の下で、明日を信じて。
十月の空は、まだ夏の匂いを残している。
蝉の声が遠くに消えても、
陽射しはなお、肌を焼く。
――秋はどこへ行ったのだろう。
けれど、きっと来る。
風が優しくなり、空が透き通る日が。
そしてその時、
私たちはまた笑顔で「おかえり」と言えるだろう。
募金箱の前で、小さく手を合わせる。
「ほんの少しでも、届きますように」
その願いが、
風に乗って島へ渡っていく。
さて、今日のちょっと昔の写真。今日は、2012年に写した伊予灘の様子です。
