• 現代ドラマ

草刈りも、この場所の営み

暑い。

分かっていて始めた草刈りですが、少し動いただけで汗が噴き出します。

刈っても刈っても、その先には草。

振り返れば、さっきまできれいにした場所が、ずいぶん遠くに見えます。

正直、辛いです。

機械の音と暑さの中で、何度も手を止め、水を飲みます。無理をして倒れてしまっては、草刈りどころではありません。

それでも、不思議と嫌いにはなれません。

草に隠れていた道が現れ、土の形が見えてくる。風が通り、古民家の周りが少しずつ明るくなっていく。

「ここまで進んだな」

振り返るたびに、仕事の跡が目に見えます。

草の匂い。

飛び出す虫。

慌てて逃げていくカエル。

時々、思いがけない草花を見つけて、機械を止めることもあります。

全部刈ってしまえば早い。

けれど、残したいものを見つけながら進むのも、この場所での草刈りです。

暑い。辛い。

けれど、きれいになっていく景色を見るのは楽しい。

電気も水道もない古民家で、今日も汗をかきながら、止まっていた場所の営みを少しずつ動かしています。

草は、また生えてくるでしょう。

その時はきっと、また同じように文句を言いながら刈るのだと思います。

それも、この場所と付き合っていく楽しさなのでしょう。

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