作品を読んでくださり、ありがとうございます。
現在、「藍の暖簾」「会長の流儀」、そしてeスポーツを題材にした物語などを書いています。
舞台も登場人物も、それぞれ異なります。
古い家に人が集まる物語。
失敗した若者が、昔気質の会長と出会い、もう一度立ち上がる物語。
競技の世界を目指す若者たちが、共同生活や仕事を通して成長していく物語。
一見すると、別々の作品に見えるかもしれません。
しかし、根にあるものは同じです。
人は、一人だけで育つものではありません。
誰かに教えられ、見守られ、叱られ、支えられながら成長していきます。
そして、受け取ったものを、いつか別の誰かへ渡していく。
私が描きたいのは、そのつながりです。
登場人物たちは、立派な人ばかりではありません。
迷います。
失敗します。
意地を張り、勘違いし、ときには誰かを傷つけます。
それでも、周囲の人との関わりの中で、少しずつ自分の役目に気付いていきます。
人は、正しい答えを教えられただけでは変われません。
誰かの背中を見たり、自分で失敗したり、守りたいものを持ったときに、初めて言葉の意味が分かることがあります。
そんな成長の瞬間を、物語として残していきたいと思っています。
作品の中には、礼儀や仕事、技術の継承、人を育てること、家族のようなつながりなど、さまざまな題材が登場します。
少し昔気質に感じる考え方もあるかもしれません。
けれど、時代が変わっても、人として大切なことまで、すべて変わるわけではないと思っています。
約束を守ること。
自分の仕事に責任を持つこと。
弱い立場の人を見捨てないこと。
教えられた恩を、その人へ返すだけでなく、次の誰かへ渡していくこと。
そうしたものを、堅い教訓としてではなく、人の失敗や笑い、日々の暮らしの中に描いていきます。
物語を読んだあとに、ほんの少しでも、
「あの人の言葉を思い出した」
「明日はもう一度やってみよう」
「誰かに声をかけてみよう」
そう思っていただけたなら、作者としてこれほど嬉しいことはありません。
まだ未熟な作品もあります。
登場人物と同じように、物語も書きながら育っていきます。
それぞれの作品の中から、気になる人物や、心に残る言葉を見つけていただけましたら幸いです。
これからも、人が人を育て、受け取った知恵が次の世代へ渡っていく物語を書いていきます。
どうぞ、ゆっくりとお付き合いください。