ナイ
系譜に記された最初の名は、エト・ナイ
手違いに気が付いたベノが系譜を修正させてからは、ナイン・ファズ・オブシディアン
金の髪の魔術師の国に産まれた、漆黒の髪と黒曜石の瞳を持つ人間の子供
魔族との姦通を疑われた王妃が自身の命をすべて賭けて呪ったために、死そのものが断たれてしまった
ヴェインやベノ曰く「おかしな呪いをかけられたが故に、興味本位で様子を見に行った人外達が多かった」らしく、それを怖がるどころかむしろ楽しんでいる様子に人外達がコロっと陥落していった結果、わけのわからない多種多様な祝福にまみれることとなった
普通の人間なら耐えきれない量の加護だが、死が断絶しているお陰で本人は快適に生活できてしまっている
1歳頃に噂を聞きつけてやってきたヴェインの秘羽を触ろうと、背中をもぞもぞ探ったことで強欲の精霊王に気に入られた
嫌がらせで王宮から送られた黒薔薇の鉢植えを真夜中の夜空を煮詰めたようでとても綺麗と褒めたことで、黒薔薇の精に気に入られる
ほとんどついていない暖炉の火を「とても温かくて幸せ」と褒めたことで、暖炉の精に気に入られる
隙間風を嫌がるどころか、むしろひんやりとして心地よいと褒めたことで、春風の精霊に気に入られる
以降、「よくぞここまでたらしこんだな」とベノに言われるほど妖精や精霊に気に入られ様々な加護を得る
精霊としては最高格のヴェインが庇護者についているため、一応、他の精霊達は遠慮している
ヴェインとしては孤高の我が君の永遠の伴侶にと期待しているが、妙なところで繊細なベノと、情緒が幼児並みのナイでは、せいぜいが気のいい親戚のお兄ちゃんと末っ子のような、実に微笑ましいが歯痒くてしょうがない関係にしかなっていない。