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パーティー三人娘について【チート嫌いのイセカイ人】

◆パーティー三人娘の設定について

 誤解を受けるかもしれないので、まず明言するのですが、エリス以外の三人娘は、本作のポジションにおいて「ヒロイン」ではありません。
「追放系主人公パーティー」を描くために用意された「古巣」に該当するのが、彼女たちの役割になります。

 なので、物語上の彼女たちは「イヤなヤツ」の役割にはなってしまうのですが、反面で「イヤなヤツ」にはしたくないなという想いもあり。
 そういう経緯で生まれ、立ち回ったたのが彼女たちです。

 カイトにとっての彼女たちは「妹みたいな子」なんですよね(他意は無いです)
 三人娘はカイトのことをどこか舐めてますし、カイトもそれを雑にあしらうのには慣れているのですが、その居心地の良さから「甘え」と言う相互異存は深まってしまった。
 結果として、彼を死地に追いやったことは、彼女たちにとって深い負い目になることでしょう。



◆ジーン=ヘンドリクソン

 オラオラ姉御肌重戦士のジーン。
 彼女は特に、パーティーの中ではカイトと打ち解けていた子だと思います。
 カイトの「影のリーダー」と、エリスの「甘えん坊」評は実際、的確です。

 その一方で彼女は、末っ子ゆえに「姉御肌」を演じたいタイプで、メルやカトレアを可愛がっていた一方で、カイトやエリスのことも「弟や妹」みたいなものと思っていたんですよね。

 ジーンにとってのカイトは、カイトにとっての「アツ兄」です。
 頼りなさげなことを言っておきながら、自分を圧倒的に上回る才能(チート)を持っている。
 きっと、「男に負けねぇ」とがんばってた彼女としては、劣等感的にもキツイもんがあります。

 そして、エリート家系で厳しい実の兄と違い、カイトはどこか頼りなく弟感がある。
 逆に、カイトも彼女を生意気な妹のように思っていたので、互いの認知が食い違っています。

 ジーンはカイトの劣等感の写し鏡であると同時に、彼以上に「上の兄弟」としては、未熟な存在でもありました。
 カイトは、その劣等感の裏で、兄弟関係は

「才能のある兄弟を妬んだりせず、報われて欲しい」
「才能の代償となった分野では、身内として手を差し伸べよう(弟の勉強など)」

 と考える、達観した部分があるのですが、ジーンは「クソ兄貴が…見返してやるぜ!」精神。

 言ってしまえば、解散の時のカイトへの責めは「才能があるけど弱気な兄の隙を見つけて、チクチク意地悪な悪態をついてしまった妹」のようなものです。
 頭に血が上り、一番やっちゃいかんタイミングでやってしまったので、この後の彼が死地に向かったことを知ると、めちゃくちゃ後悔することでしょう……。

 彼女の本質を「兄の善意に甘えている」と看過したエリスは、なんだかんだ後方に立つ「護られキャラ」でありながらも、本質的には全体を俯瞰できていた「お姉さん」でもあった、ということです。
 カイトとエリスの「上も下もいる兄弟」ゆえの視座は、彼女にはなかなか受け入れにくかったものなのでしょう。



◆メル=ハリントン

 高飛車お嬢様魔法使いのメル。
 一番「イヤなヤツ」度が高い彼女は、突発的なトラブルに弱く、テンパりやすい一面も持っています。

 彼女もカイトのことは憎からず思っていましたが、パーティー解散は状況に流された部分が大きいです。彼女だけは解散の時にまったく意思表示をしてませんね。
 もちろん、カイトのチートへの劣等感や嫌悪感も強かったとは思いますが、直前に命を助けられてますし。
 ときめきとは言わないまでも、大分好感度は上がってましたが……その後塞ぎ込んだカイトを見て、距離も空いてしまったのでしょう。
 良くも悪くも、「気に食わないけど頼れる男」なので、弱みを見せても寄り添うより「まあ、自分で何とかするでしょ」って認識の甘さがあるわけです。

 本当の所、カイトが自分達を立てて泣いて謝ってきたら「こう言ってるし、許してあげない…?」みたいなふわふわした態度を取ったでしょうね。
 流されていた彼女にとっては、カイトが憎いわけでもなかったので「最善」な展開は、きっとそれだったことでしょう。
 姉御ポジのジーンに対しても「やれやれ、感情的になっちゃって」的なスタンスを取れるし。

 ……そりゃ「私の大好きな人に命張らせて、何だその態度は」と、エリスもキレます。

 ある意味、家柄的に「与えられる」ことに慣れてしまった故の性格だとも思います。
 もちろん、彼女も自分のやりたいことに没入していくタイプで、自我は強いのですが、その反面で自分の選択の結果起こることへの思慮は若干浅い。
 言ってしまえば「精神的に未熟な弟アキラ」って感じのキャラです。

 だからこそ、カイトも庇護欲を刺激され、つんつんした態度を取られながらも、仲間として満更でも無い気分だったんだと思います。



◆カトレア=チャッペル

 堅物シスター僧兵のカトレア。
 一番良識を振りかざしますが、多分精神年齢は彼女が一番幼い。

 孤児として教会で育てられた彼女は「正しいことをやれば、報われる」公正世界仮説を、無邪気に信仰しているような少女です。
 彼女も、教会で過ごしている頃は「厳格なお姉さん」を演じていたのですが、反面で他人の心の機微については「信仰」という絶対的な規範に則り、あまり個々人の事情を鑑みませんでした。
 もちろん、彼女の生い立ちを考えれば、それを本心から信じているかは微妙で、実際は「そうあって欲しい」という願望が多々含まれています。

 ある種の不運として、「分別の無いわがまま年少児」と違い「正しい指摘はちゃんと受け入れる柔軟性」を持ったカイトの下についたことで、彼女の「お小言グセ」は促進されてしまったんですね。
 教会にいた頃は「年長者」として甘えが許される機会が減り、鬱屈としていた彼女だからこそ、「いじわるを許してくれる兄」という存在は、ひとつの救いでもあり。

 そんな彼に、自分の信仰の根幹を揺るがされたので、まあ怒りもします。
 悪いのはアルフィードの宮廷魔術師や、いい加減な女神の方だと思いますが、そうは言ってもカトレアもこの世界では成人なので、アンガーマネジメントはしなくちゃいけなかった。

 とは言え、カイトの女神への態度が悪いのは気に入らない一方、エリスの指摘で迷う程度には「死んで欲しくない」と思っていたのも事実で。
 絶対視していた「信念」で親しい人を追い詰めたというのは、彼女にとっても重い荷になることでしょう。



◆IFとこれから

 今後しばらく、魔族領域での活動がメインになるので、彼女たちの出番は少なくなると思います。
 また、どこかで登場する機会もあると思いますが、少なくともカイトと恋愛関係にはならないと思います。
 
 ……ただ、IFの話で考えると、彼女たちとカイトが恋愛関係になるのは「無理ではなかった」かなとも。
 三人は言外でカイトに頼りきりですし、命を救われた場面は少なからずあり、突き放そうとした自身の子供っぽさをエリスに指摘されることで「もっとカイトに優しくしよう」とは考えるでしょうし。
 カイトの泊まった宿に、オーク侵攻の情報が入るのが遅いか、エリスがもっと早くカイトの元に到着してたら、パーティーは再結成して、風向きは変わってたかも……?

 まあ、そのIFの元でも、パーティー単位で国軍と共同でのオーク防衛戦には参加するでしょうし、四天王の勇者拉致作戦は続行するので、本編よりしっちゃかめっちゃかな環境になりそうですね……。
 三人とも名家の出や、教会指折りの僧兵なので、「ハーレム」な展開は実家や教会から睨まれそうです。
 まあ、本編はそうはならなかった世界線なので、彼女たちはカイトにとって、「共に命懸けの冒険をした女友達」に終始し、他の男性と結婚したり、あるいは仕事一筋で生きていくことでしょう。

 長い人生、そういう関係の友人ってのも、まあいいんじゃないでしょうか。

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