『おにぎりの白熊堂 ~ぬいぐるみが繋いだ縁~』
https://kakuyomu.jp/works/822139842033493660
カクコン参加中のやつ。
深夜テンションで番外編を書いてみました。
(本編を書け)
セルフ誕生日プレゼントです。
あー、いちゃいちゃさせたい。
◆◆◆
本棚の前に腰を降ろし、本を読んでいた君は、俺が目を離した隙に夢の世界へ行ってしまった。
「置いていくなんて、ひどいな」
そんな風に囁いてみたけれど、君はまるで起きなくて、寝息を立てるばかり。
可愛い寝顔、いくらでも見ていられる。
君の横に座り込んで、寝顔を覗き込んだ。なんて無防備なんだろう。今、君に何かしたとして、すぐに目を覚ます? それともずっと眠っているかな?
「試してみたいな……」
「……んっ」
眉根を寄せて、吐息を溢す君。俺は自然と小さく笑い声を溢して、君が読んでいる途中の本を手に取って、代わりに続きを読む。
君は本を開いた状態で眠ってしまったから、後で、本に跡がついたかもしれませんって焦るかもしれないね。
マイナーな作家が書いたその本は、あらすじを読んで惹かれて、俺が買ったもの。何度か読んできたけれど、君の目にはどんな風に映っていたのか、想像しながら読むのは楽しかった。
『好きなんです』
登場人物がそう相手に伝えている。どんな表情をして、どんな風に声を出して、どんな感情を抱いているのか、こと細かに書かれていた。
俺は本から顔を上げて、君を見る。君はまだ瞼を閉じている。
「あざらし君」
俺だけが呼んでいる、君の名を口にすると、瞼が震えていた。俺の声に反応してくれたのが嬉しくて、もう一度あざらし君と呼んでから、こう続けてみる。
「──好きだよ」
起きていたら顔を赤くして、やめてくださいよって言うんだろうなと思ったら、口角が上がってくる。
「あざらし君、好き。……大好き」
このまま、帰したくない。
起きないのをいいことに、君の手に自分の手を重ね、身を乗り出し、自分の口を君の耳元に近付けた。
「──俺を選んでよ」
君はまだまだ保護者と一緒にいなければいけなくて、起きたら帰るべき所に帰らないといけない。ずっと一緒にいられるような、そんな関係にはまだなれない。
ようやく会えたのに。離れたくないという想いは日々強くなっていくのに。時間になれば君はいなくなってしまう。
重ねた手に、指を絡める。
「俺しかいらない、俺が欲しいって言ってよ」
俺はとっくに、そう思っているのに。