ベートーベンの「悲愴」第二楽章。
「悲愴」という悲しみに溢れた名曲の第二楽章は、なぜかどこまでも穏やかに優しい。
悲しみを通り越した奥底にある安らぎ、とでも言うのだろうか。
もう、もがくことも苦しむこともしなくていい。そのまま静かに、ひんやりと穏やかな草の上に横たわればいい——。
この旋律は、そう言っているように聴こえる。
この曲は、ベートーベンが自分の難聴を自覚し始めた頃に作られた作品だという。
諦めや慰めにも近い、穏やかに打ち沈んだ旋律。
深い悲しみと静かな安らぎが完全に一体化した、心を抉る不思議な調べだ。