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物語は「作り方」より「価値観」

 世の中にはいろいろな創作論がありますが、自分には、それ以前の問題があるように思います。

 これから何か物語を書こうという人が最初にぶつかるのは、物語の作り方以前に、「自分は一体何を書きたいのか?」ではないかと思うのです。
 これは、かつての自分がそうだったからです。

 なんとなく「こんな話を書きたい」という断片的なイメージはあっても、まとまらないのは、「何を表現したいのか」ということが自分でわからないからです。

 そこで、書く人の「価値観」が手がかりになります。

 主人公が何かと戦って勝つとしたら、あるいは負けるとしたら?
 物語の結末は、作者がどんな価値観を肯定したか、あるいは問い直したかを強く印象づけます。
 単純に主人公が修行して成長し、「相手より強くなったから」敵に勝つのだと、読者には「最後にものを言うのは力だ」と解釈されることでしょう。それが書きたいことなら構いません。

 でも、そうではないとしたら、これでは作者の思いは反映されません。
 別の何かーー愛情や友情、勇気などーーを表現したいなら、勝敗の理由にも自分の価値観を反映させる必要があります。

 それにはまず、普段は意識していないあなた自身の「価値観」つまり、あなたが大切に思う「何か」を探り当てることです。

 あなたが思い描く「理想」はなんでしょうか?
 何が世の中で一番大切でしょうか?

「努力」でしょうか? 「友情」でしょうか?
「自由」「平等」「人助け」「恋愛」「家族」「お金」いろいろあります。

 必ずしも褒められないことでもいいのです。
「誰にも邪魔されずに毎日本を読んで暮らしたい。」
「働かなくても生活できるようになりたい。」
「努力せずにめちゃめちゃモテるようになりたい。」
「日常を捨てて旅に出たい。」

 ヤン・ウェンリーは「無料で歴史を学びたい」と考えていました。
 なんでもいいです。自分の一番大事なものを考えてみましょう。それが「価値観」です。

 自分はどうしたいのか、どうなりたいのか? どんな生活、生き方をしたいのか?
 それを主人公のキャラクターにするのです。

 次にするのは、主人公の価値観では受け入れられない敵や状況を作ることです。
 簡単なのは、主人公の真逆の価値観を考えることです。

 「自由」の真逆はなんでしょうか?
 「平等」の真逆はなんでしょうか?

 それを、主人公と対をなす価値観とします。
 すると、あら不思議! あっという間に物語が動き出します。

 例えば「自由」の真逆が「統制」だったら、すぐに「管理社会に反乱を起こす異端の若者」という話ができます。
 「愛する相手は自分の意思で選ぶ」の真逆が「結婚相手は家や親が決める」だったら、「駆け落ちする」「親と戦う」「秘密結婚する」などいろいろ作れます。

 そして大事なのは、あなたが大切にする「何か」が、そこに、すでに反映されているということです。

 長くなりましたね。まとめましょう。

 あなたの大切な「何か」がわかっていれば、それを体現する主人公が作れるし、それに敵対するキャラクターや状況が自ずと見えてくるわけです。
 それはしかも、あなたの抱える問題に向き合う、あなただけの物語になっているのです。

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